1986年 ポルトガルGP


1986年9月19-21日
ポルトガル アウトドローモ・ド・エストリル

予選:PP(14回目) 決勝:4位


長く続いたヨーロッパラウンドも、このポルトガルが最終戦。 前年ここで初めてのPP・優勝を決めたセナがエストリルに帰ってきた。 ブラジルはポルトガル語圏であり、カート時代から親しんだポルトガルは、セナ自身お気に入りだったようだ。

ホンダの総監督・桜井淑敏氏は翌シーズンからロータスにもエンジンを供給することを発表した。 セナはホンダのパワーに惚れ込み、ホンダもセナの能力を高く評価していた。 後にセナとホンダは仕事を超えた特別な関係になっていく。

さらにこの週末、今をときめくプロスト、ピケ、マンセル、セナが4人揃っての記念撮影。 セナはこの時すでに完全にトップドライバーとして認められ、 強力なライバルとの戦いの中で「真の強さ」を身につけていったような気がする。

予選は目まぐるしい展開。 金曜予選は5位に終わったセナだったが、土曜になると熾烈なPP争奪戦。 まずはセナがトップタイムをマークすると、その後マンセル(ウイリアムズ)→ベルガー(ベネトン)→プロスト(マクラーレン) →ファビ(ベネトン)が次々とタイムを更新する。

セナは残り7分となったところで、ターボチャージャーを交換し、再びコースへ。 セナはそのエンジンでスタートした瞬間に、マシンの新しい加速を感じ、PPを確信したという。 その確信通り、セナは完璧なラップを刻み、最終的には2位マンセルに0.8秒の差をつけるPPを決めた。

決勝レースでは、フロントローに並んだマンセルが好スタートを切り1コーナーを奪っていく。 マンセルとセナは3位以下を引き離し、周回を重ねていった。

中盤のタイヤ交換後、セナは後方からピケ(ウイリアムズ)に攻められる。 予選では自らの腕でスーパーラップを決めてPPを獲得したセナだったが、 マシンの総合力が試される決勝レースではホンダエンジンを擁するウイリアムズに分があった。

しかしセナはコース特性や周回遅れを利用して、ピケを封じ込めていく。 「ブロックの名人」とも呼ばれたセナのマシンコントロールはこの頃すでに完成していたのかもしれない。 ただセナのブロックは決して露骨なものではなく、正しくは「ライン取りの名人」ではなかったかと思う。

終盤になるとピケからの攻撃も退け、セナは余裕をもって2位を走行していた。 しかしファイナルラップでガス欠が生じ、ユルユルとコントロールラインへと向かう。 結局、その間にプロストとピケにかわされ、1周遅れの4位に終わった。

ウイリアムズやマクラーレンに比べると総合力に劣るマシンながら、 開幕からポイントを重ねてきたが、これでチャンピオンの可能性は完全になくなった。 しかしそのような状況だからこそ、ガソリンをギリギリまで切り詰め、ライバルに対抗していったのかもしれない。



予選結果

 
ドライバー
チーム
タイム・備考
PP
 アイルトン・セナ  ロータス・ルノー  1'16"673
2位
 ナイジェル・マンセル  ウイリアムズ・ホンダ  1'17"489
3位
 アラン・プロスト  マクラーレン・TAGポルシェ  1'17"710
4位
 ゲルハルト・ベルガー  ベネトン・BMW  1'17"742
5位
 テオ・ファビ  ベネトン・BMW  1'18"071
6位
 ネルソン・ピケ  ウイリアムズ・ホンダ  1'18"180


決勝結果

 
ドライバー
チーム
タイム・備考
優勝
 ナイジェル・マンセル  ウイリアムズ・ホンダ  1゚37'21"900
2位
 アラン・プロスト  マクラーレン・TAGポルシェ  1゚37'40"672
3位
 ネルソン・ピケ  ウイリアムズ・ホンダ  1゚38'11"174
4位
 アイルトン・セナ  ロータス・ルノー  1Lap
5位
 ミケーレ・アルボレート  フェラーリ  1Lap
6位
 ステファン・ヨハンソン  フェラーリ  1Lap
 
     
FL
 ナイジェル・マンセル  ウイリアムズ・ホンダ  1'20"943360




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