混戦が続くチャンピオンシップは大西洋を越えアメリカ大陸へ。
16年ぶりにメキシコでF1グランプリが行われることになった。 レースが行われるアウトドローモ・エルマノス・ロドリゲス(「アウトドローモ」は「サーキット」の意)は、 埃っぽく所々に大きなバンプがあり、コントロールが難しい。 セナは前戦でチャンピオンへの可能性がなくなってしまったが、 そんな状況で難しいコースでも全力で果敢に攻めていく。 ルノーはターボを改良したスペシャルエンジンを用意した。 金曜予選は4位に終わったが、土曜予選の終了間際にスーパーラップ。 最終コーナーではバンプに乗りマシンが跳ねて大事故も懸念されたが、 見事にコントロールしてシーズン8回目のPPを決めた。 しかしセナ当人は相変わらず完璧への追及を忘れない。 「こぶにぶつかったよ。おかげで、ラインを外れてしまったし、アクセルから足を上げてしまった。 パワーを戻すのにずいぶん時間がかかってしまったような気がする。 あれがなければあと0.5秒はタイムを更新できたのにね。」(「生涯 アイルトンセナ」より) 決勝レースは、1周目に激しいブレーキング競争の末にピケ(ウイリアムズ)に 先行され、前半戦はピケの隙をうかがいながら2位を走行。 33周目にピケのタイヤ交換の間に4周のあいだセナがトップを走行するが、 セナも37周目にピットに入り順位を落とす。 そして新たにトップに躍り出たのはベルガー(ベネトン)だった。 ベネトンはピレリタイヤを履きタイヤ無交換作戦を敢行しようとしていた。 セナはベルガーを追うどころか、 さらに47周目にもタイヤ交換の必要に迫られ2度目のピットイン余儀なくされた。 レースはその後もタイヤ無交換のベルガーが見事なペース配分を見せ、 大きなリードを守り初優勝を飾った。 タイヤ1回交換のプロスト(マクラーレン)が2位、2回交換のセナは3位で終わり、 タイヤ交換の回数が勝敗を分けた。 セナはこの頃はまだドライビングが荒くてタイヤに負担がかかっていたかもしれないが、 レースを重ねるとともに精練されていき、天性の速さに加えてタイヤやエンジンなど、 マシンに優しい走りになっていったように感じた。 |
ドライバー |
チーム |
タイム・備考 |
|
PP |
アイルトン・セナ | ロータス・ルノー | 1'16"990 |
2位 |
ネルソン・ピケ | ウイリアムズ・ホンダ | 1'17"279 |
3位 |
ナイジェル・マンセル | ウイリアムズ・ホンダ | 1'17"514 |
4位 |
ゲルハルト・ベルガー | ベネトン・BMW | 1'17"609 |
5位 |
リカルド・パトレーゼ | ブラバム・BMW | 1'18"285 |
6位 |
アラン・プロスト | マクラーレン・TAGポルシェ | 1'18"421 |
ドライバー |
チーム |
タイム・備考 |
|
優勝 |
ゲルハルト・ベルガー | ベネトン・BMW | 1゚33'18"700 |
2位 |
アラン・プロスト | マクラーレン・TAGポルシェ | 1゚33'44"138 |
3位 |
アイルトン・セナ | ロータス・ルノー | 1゚34'11"213 |
4位 |
ネルソン・ピケ | ウイリアムズ・ホンダ | 1Lap |
5位 |
ナイジェル・マンセル | ウイリアムズ・ホンダ | 1Lap |
6位 |
フィリップ・アリオー | リジェ・ルノー | 1Lap |
FL |
ネルソン・ピケ | ウイリアムズ・ホンダ | 1'19"360 |