シーズンも4分の3を消化し、チャンピオンシップも佳境に入る。
シーズン序盤は思わぬつまずきもあったプロスト(ウイリアムズ)だったが、夏の間に着実にポイントを稼ぎ、
このイタリアGPの結果次第ではチャンピオンが決まる。 一方、夏に失速した感があるマクラーレンだったが、こちらも終盤戦に向けて上昇傾向にある。 中盤戦はベネトンにあれだけ差をつけられていたものの、 このイタリアから最終戦オーストラリアまでは全てのレースの予選で、 セナはシューマッハー(ベネトン)を上回ることになる。 このマクラーレンのパフォーマンス向上は、セナの忠告によってマシンが改良され、 高速コーナーでのマシンのバランスが向上したことが大きかったようだ。 マシンを改良し、より速いものにするのもF1ドライバーの仕事である。 セナは技術者として、マシン開発にも非常に優れていた。 予選は、ここモンツァでアレジ(フェラーリ)がティフォシ(熱狂的フェラーリファン)の前で素晴らしい走りを見せた。 金曜・土曜ともにプロスト、ヒル(ウイリアムズ)、アレジ(フェラーリ)、セナの順。 セナは決勝レースでの自信をのぞかせる。 「信頼性、バランスのいいセッティング、そしていいスタートをすることがレースで結果を残すためのカギだ。」 しかし気合が入り過ぎてしまったのか、決勝レースのスタートでは果敢に前に出ようとするが、 ホームストレートからだんだん走行ラインが狭くなっていく第1シケインで、 セナの前輪がヒルの後輪に乗り上げマシンが斜めになり、 体勢を立て直すために一時的にコースアウトを余儀なくされた。 「僕はアレジについていった。僕たちはヒルを捕らえたよ。でも、ヒルは外側のラインを譲らず、接触してしまった。 結構強くあたったけれど、少なくとも正しい方向に着地できたのがよかったよ。」
セナは1周目を10位で通過し、その後も前を目指し順位を上げていく。
しかし8位まで順位を上げた9周目、7位のブランドル(リジェ)に追突し2台はダメージを負いながらコースアウト、
その場でリタイアした。セナは追突直前、ステアリングの右側にあるボタン?でブレーキバランスを変えている。 「リア・ブレーキの利きが甘く、ブランドルに出くわしたときに、持ちこたえられなかった。 彼とすごく近いところにいて、ダウンフォースがなかったからマシンのリアにグリップがとれなかったんだ。」 セナはブレーキバランスを調整したが、セナの思った通りにはブレーキが機能しなかったのかもしれない。 レースはプロストが残り5周でエンジンブローし、ヒルが3連勝。王座決定は次戦以降に持ち越された。 セナはチャンピオンへの望みが完全に消滅し、さらにポイントランキングもヒルに抜かれ3位に後退した。 ちなみにセナのチームメイトのアンドレッティは3位で初の表彰台をものにした。 しかし彼はこのレースをもってF1を去り、次戦からはハッキネンがマクラーレンに乗ることになる。 このレースではあまりいいところが見せられなかったセナだったが、 マクラーレンのマシンポテンシャル向上とともに、ハッキネンの実戦登場により、 終盤戦に向けてさらにモチベーションを高めていくのだった。 |
ドライバー |
チーム |
タイム・備考 |
|
PP |
アラン・プロスト | ウイリアムズ・ルノー | 1'21"179 |
2位 |
デイモン・ヒル | ウイリアムズ・ルノー | 1'21"491 |
3位 |
ジャン・アレジ | フェラーリ | 1'21"986 |
4位 |
アイルトン・セナ | マクラーレン・フォード | 1'22"633 |
5位 |
ミハエル・シューマッハー | ベネトン・フォード | 1'22"910 |
6位 |
ゲルハルト・ベルガー | フェラーリ | 1'23"150 |
ドライバー |
チーム |
タイム・備考 |
|
優勝 |
デイモン・ヒル | ウイリアムズ・ルノー | 1゚17'07"509 |
2位 |
ジャン・アレジ | フェラーリ | 1゚17'47"521 |
3位 |
マイケル・アンドレッティ | マクラーレン・フォード | 1Lap |
4位 |
カール・ベンドリンガー | ザウバー | 1Lap |
5位 |
リカルド・パトレーゼ | ベネトン・フォード | 1Lap |
6位 |
エリック・コマス | ラルース・ランボルギーニ | 2Laps |
リタイア |
アイルトン・セナ | マクラーレン・フォード | 8周、アクシデント |
FL |
デイモン・ヒル | ウイリアムズ・ルノー | 1'23"575 |