日本GP開幕まで2週間を切った10月11日、ウイリアムズチームは94年のドライバーに
セナとヒルを起用することを発表した。
セナはブラジルから電話で記者会見に参加。
初めてF1に乗るチャンスを与えられたウイリアムズに、10年越しに戻ってきた。
セナはウイリアムズへの感謝と期待を込めたメッセージを送る。 セナは日本入りしてからも忙しいスケジュールをこなす。 フジテレビの企画でサッカーのジーコ(鹿島アントラーズ 現・日本監督)との対談。 さらに日本テレビの「とんねるずの生でダラダラいかせて」で、とんねるず石橋貴明、定岡正二とカート対決。 レース前のルール確認では、「ノー マンセル!、ノー プロスト!」(マンセルやプロストみたいなことはしちゃダメだよ!) と茶目っ気たっぷりのセナが微笑ましかった。ちなみにこのときの出演料は600万円也。 こうしてポルトガルGPから4週間のインターバルはあっという間に過ぎ、日本GPは開幕していった。 金曜午前にエンジントラブルでセットアップが決まらず、午後の予選はチームメイトのハッキネンに僅かに及ばず4番手。 土曜予選は大混戦。セッション中盤、プロストのタイムを破りトップタイムをマークしたフェラーリのベルガーが口火を切り、 各ドライバーの闘争心に火をつけた。プロストがすぐにトップタイムを奪い返し、セナもハッキネンを抑えてプロストと 0.130秒差の2位。 セナはアタック中、片山右京のマシンを借りて乗っていたティレルのデ・チェザリスに引っかかる。 これがなければPPを奪えたかもしれない。ちなみに予選終了後、セナは右京がアタックを邪魔したと思い込み、 右京に迫ったが、それがチェザリスだとわかると黙って帰っていった。 右京、難を逃れる。チェザリス恐るべし。 レースがスタートするとウイリアムズに比べガソリン搭載量が少なく軽い マクラーレン、セナが好ダッシュを決め首位に立ち、逃げを打つ。 このレースはタイヤ交換を1回予定するチームと2回予定のチームに分かれた。マクラーレンは後者であり、 セナは13周目にピットイン。セナの1~2秒後方にいたプロストはここで楽に首位に立つ。 このままいけば両チームあと1回ずつのタイヤ交換が必要で、 プロストはピットインで後退したセナとの差を維持しさえすれば勝てるはずだった。 しかし15周目あたりから雨が落ち始め、次第に雨足は強くなっていく。 プロストは慎重にドライブする一方で、セナは得意の雨で果敢に攻める。 20周目には2人の差は2秒に縮まり、ヘアピンの立ち上がり、スプーンの手前でセナはプロストをあっという間にかわした。 セナとプロストはその周にウエットタイヤへ交換するために同時ピットイン。マクラーレンは手間取るウイリアムズピットを尻目に 5.5秒の早業でセナを送り出す。 天候は本格的な雨になってから、終盤再び晴れてきた。40周過ぎくらいから各車スリックタイヤに戻し始めたが、 場所によってはレインタイヤの方がペースが速く、レインタイヤを履いた周回遅れのジョーダン、アーバインがラップリーダーで すでにスリックタイヤに換えているセナを何度もブロック、抜き返すという光景が見られた。 セナはその後慎重に周回遅れを処理し、無難に走り切り、最終的に終盤FLを記録して 追い上げてきたプロストに11秒の差をつけて快勝。 セナは通算40勝目、マクラーレンはフェラーリに並ぶチーム通算最多タイの103勝目。 表彰式では、引退を表明していたプロストとセナの握手は見られず、こちらは最終戦に持ち越された。 表彰式が終わり、後片付けが行われているとき、セナは周回遅れにもかかわらず何度も抜き返したアーバインに抗議。 この時アーバインの態度が悪かったこともあり、セナはアーバインに殴りかかった。 (実際は殴ろうとしたが、周囲の人間に止められたらしい。)セナはこの騒動で、執行猶予付き 3戦出場停止処分を受けている。 |
ドライバー |
チーム |
タイム・備考 |
|
PP |
アラン・プロスト | ウイリアムズ・ルノー | 1'37"154 |
2位 |
アイルトン・セナ | マクラーレン・フォード | 1'37"284 |
3位 |
ミカ・ハッキネン | マクラーレン・フォード | 1'37"326 |
4位 |
ミハエル・シューマッハー | ベネトン・フォード | 1'37"530 |
5位 |
ゲルハルト・ベルガー | フェラーリ | 1'37"622 |
6位 |
デイモン・ヒル | ウイリアムズ・ルノー | 1'38"352 |
ドライバー |
チーム |
タイム・備考 |
|
優勝 |
アイルトン・セナ | マクラーレン・フォード | 1゚40'27"912 |
2位 |
アラン・プロスト | ウイリアムズ・ルノー | 1゚40'39"347 |
3位 |
ミカ・ハッキネン | マクラーレン・フォード | 1゚40'54"041 |
4位 |
デイモン・ヒル | ウイリアムズ・ルノー | 1゚41'51"450 |
5位 |
ルーベンス・バリチェロ | ジョーダン・ハート | 1゚42'03"013 |
6位 |
エディ・アーバイン | ジョーダン・ハート | 1゚42'14"333 |
FL |
アラン・プロスト | ウイリアムズ・ルノー | 1'41"176 |