1984年 ベルギーGP


1984年4月27-29日
ベルギー ゾルダー サーキット

予選:19位 決勝:6位


この年のベルギーGPは、スパ・フランコルシャンではなくゾルダーで行なわれた。 ゾルダーは1982年に、真のレーサー、ジル・ビルヌーブが事故死したサーキットとしても有名である。

前戦南アフリカGPでF1参戦2戦目にして早くも初入賞を飾り、 周囲はセナを有望新人として注目し始める。 ここベルギーでも光る走りを見せ付けたいところだ。

しかし金曜・土曜とトラブルに見舞われる。金曜は午前中に電気系統のトラブルが発生し、 午後の予選では2周しか走ることができず15位。 土曜にはミスファイアが発生するなど18位。 さらにセナはGP前のテスト中に背中を痛めていて、その影響もあったようだ。 2日間の予選全体では、チームメイトのチェコットにも遅れをとり19番手に沈んだ。

決勝レースではスタートに失敗し、26台中24位にまでポジションダウンしてしまう。 しかしここから諦めず粘りの走行を見せる。 一台ずつ丁寧・確実にライバル達をパスし、 10周目には18位、途中ピットストップをし40周目には13位、 そして50周目には10位にまで上がってきた。

セナの勢いは衰えることなく、最終的には67周目に7位に上がり、 このポジションをキープしてレースを完走した。 前戦南アフリカGPでは、レース後に気絶しマシンから降りられず体力不足を指摘されたが、 このレースでは逆に粘り強い走りで早くもレース・ディスタンスに順応した感がある。

なおシーズンも終盤戦に入った頃に、ティレルの水タンクがレギュレーション違反となり、 6位でゴールしたベロフの入賞が無効となり、セナが6位に繰り上がった。 私はセナが生前、「レースでは何がおきるかわからないからね。だから常にベストを尽くすことが大切だ」 とよく語っていたのを思い出した。

このようなレースを実際に見てみると、 どんな不利で厳しい状況でも最後まで諦めず、全力を尽くすことが大切だと改めて実感できる。 全力を尽くした結果、大きな成功は得られず、失敗をしてしまうこともあるとは思う。 しかし、全力を尽くした後は、その結果にとらわれず清々しい気持ちになって、次の自らのステップアップにつなげることができる。

レースの結果以上に、このような人間にとって大切なことをセナから教えてもらい、 それをセナ自身が非常に高いレベルで証明していったように感じる。 だからこそ私達はセナの生き方を理想として尊敬し、そしてセナを愛していたのではないだろうか。



予選結果

 
ドライバー
チーム
タイム・備考
PP
 ミケーレ・アルボレート  フェラーリ  1'14"846
2位
 ルネ・アルヌー  フェラーリ  1'15"398
3位
 ケケ・ロズベルグ  ウイリアムズ・ホンダ  1'15"414
4位
 ディレック・ワーウィック  ルノー  1'15"611
5位
 エリオ・デ・アンジェリス  ロータス・ルノー  1'15"979
6位
 マンフレート・ビンケルホック  ATS  1'16"130
19位
 アイルトン・セナ  トールマン・ハート  1'18"876


決勝結果

 
ドライバー
チーム
タイム・備考
優勝
 ミケーレ・アルボレート  フェラーリ  1゚36'32"048
2位
 デレック・ワーウィック  ルノー  1゚37'14"434
3位
 ルネ・アルヌー  フェラーリ  1゚37'41"851
4位
 ケケ・ロズベルグ  ウイリアムズ・ホンダ  1Lap、ガス欠
5位
 エリオ・デ・アンジェリス  ロータス・ルノー  1Lap
6位
 アイルトン・セナ  トールマン・ハート  1Lap、繰り上げ入賞
 
     
FL
 ルネ・アルヌー  フェラーリ  1'19"294




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