1984年 イギリスGP


1984年7月20-22日
イギリス ブランズ・ハッチ サーキット

予選:7位 決勝:3位


F1シリーズはアメリカからイギリスへ舞台を移し、本格的なヨーロッパラウンドが始まっていく。 この年のイギリスGPはブランズ・ハッチで行われる。

金曜午前のフリー走行でサーキットに衝撃が走る。 セナのチームメイトのチェコットがガードレールにクラッシュし両足骨折の重症を負う。 セッションは約1時間中断。 結局チェコットはこの事故でF1から去り、ツーリングカーに活躍の場を移した。

セナは重症を負ったチェコットを見舞うことはなかった。 それは単にセナが冷たい人間だからだということではなく、むしろ逆で情に厚いところから、 チェコットの事故から自らの精神に影響を及ぼされたくなかったからだったようだ。

セナは必死に自らをコントロールして、セッション再開後に最速タイムをマーク。 セナは動揺を抑えて非情になりきった。

土曜予選では4位と好位置につけたが、土曜になるとターボブローに見舞われタイムアップならず13位。 とはいえ2日間の予選全体ではPPのピケから1秒差の7位と、決勝レースに期待をさせる。

決勝レースでは1周目に多重事故が発生しスタートやり直し。 再スタートしたレースでも11周目にパーマー(RAM)の事故が発生し、 11周+60周の2ヒート制・合計タイムで順位を決定することになった。

セナは再スタートで少し出遅れるものの、5周目までにマンセル(ロータス)とアルボレート(フェラーリ)を抜き返し6位へ。 第2ヒートが始まり、中盤まで6位で周回を重ねていく。 38周目にトップを走るプロスト(マクラーレン)がギアボックスのトラブルでリタイアし、セナは労せずして5位へ。

終盤には残り5周となった66周目に、デ・アンジェリス(ロータス)をかわし4位へ。 さらに翌周には2位走行中のピケ(ブラバム)がターボトラブルで脱落。 セナは3位に上がり、そのまま危なげなくマシンをゴールまで導いた。

セナはモナコGP以来2度目の表彰台に上った。 モナコGPでは大雨で特殊なコンディションだったが、今回はドライコンディションで速さと強さを見せつけた。 ちなみにグランプリ・フォトグラファーの原 富治雄氏は、 この84年イギリスGPをセナのベストレースに挙げている。 チャレンジングなブランズ・ハッチのコースをあのトールマンのマシンで表彰台に上がったことがその理由のようだ。

チェコットの事故による動揺を抑えて、3位表彰台を得たセナ。 感情的な性格で涙もろいとも言われるが、それがマイナスに作用したことはほとんどなく、 逆に見事にコントロールして自らの力にした。 そしてセナの評価はレースを重ねるたびに着実なものになっていった。



予選結果

 
ドライバー
チーム
タイム・備考
PP
 ネルソン・ピケ  ブラバム・BMW  1'10"869
2位
 アラン・プロスト  マクラーレン・TAGポルシェ  1'11"076
3位
 ニキ・ラウダ  マクラーレン・TAGポルシェ  1'11"344
4位
 エリオ・デ・アンジェリス  ロータス・ルノー  1'11"573
5位
 ケケ・ルズベルグ  ウイリアムズ・ホンダ  1'11"603
6位
 デレック・ワーウィック  ルノー  1'11"703
7位
 アイルトン・セナ  トールマン・ハート  1'11"890


決勝結果

 
ドライバー
チーム
タイム・備考
優勝
 ニキ・ラウダ  マクラーレン・TAGポルシェ  1゚29'28"532
2位
 デレック・ワーウィック  ルノー  1゚30'10"655
3位
 アイルトン・セナ  トールマン・ハート  1゚30'31"860
4位
 エリオ・デ・アンジェリス  ロータス・ルノー  1Lap
5位
 ミケーレ・アルボレート  フェラーリ  1Lap
6位
 ルネ・アルヌー  フェラーリ  1Lap
 
     
FL
 ニキ・ラウダ  マクラーレン・TAGポルシェ  1'13"191




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