1986年 アメリカGP


1986年6月20-22日
アメリカ デトロイト市街地コース

予選:PP(11回目) 決勝:優勝(4回目)


前戦カナダから2週連続の北米シリーズの舞台はアメリカ・デトロイトへ。 この時期のデトロイトは暑く、さらに市街地コースでタイヤに厳しいので、 タイヤ選択が重要なコースである。

予選ではセナとマンセルがPP争いを繰り広げる。 金曜日はマンセルがトップタイムをマークし、セナがこれに続く。 土曜予選ではセナが逆転し、マンセルに0.5秒の差をつけて4戦ぶりにPPを奪取。 ちなみに予選終了後、セナは記者会見を受けなければならなかったが、 サッカーのワールドカップを見るためにそのまま宿泊しているホテルに帰ってしまったようだ。

決勝レースではセナが好スタートを切りトップを守ったが、 3周目にギアチェンジをミスしてマンセルに先行を許した。 しかしセナは焦らなかった。セナはグリップは低いが持久性が高いBタイヤ、 マンセルはグリップは高いが持久性の低いCタイヤを装着していた。 セナは金曜日からこのBタイヤとCタイヤを試し、このコースではBタイヤの方が適していることを認識していたのだ。

さらにマンセルにはブレーキトラブルも抱えていたこともあり、 セナは8周目にマンセルをかわし再びトップを奪い返した。 ところがセナにもタイヤのトラブルが発生する。 左リアタイヤがパンクし14周目にピットインを余儀なくされた。

セナは再びBタイヤを装着してコースに戻った。 この時点での順位は8位。しかしここから追い上げ、 ヨハンソン(フェラーリ)やアルボレート(フェラーリ)等をパスしていった。 30周を終えた時点で1位ラフィット(リジェ)、2位ピケ(ウイリアムズ)に続く3位まで上がっていた。

そして上位2人もピットインし、さらに42周目にピケがクラッシュすると、セナがトップに立っていた。 出入りが激しく完走10台のサバイバルレースの中で、その後セナは終盤の20周を無難に走り切り、 2位ラフィットに30秒以上もの差をつけて優勝した。 結果的にPPからの優勝だったが、途中後退しながら追い上げるなど、 タイヤ選択を含めた冷静な状況把握・判断の末の価値ある一勝だった。

セナはこの時点でランキング・トップに躍り出た。 マシン性能ではウイリアムズやマクラーレンに劣るものの、セナは自らの腕で対抗。 特にドライバーの差が出やすい市街地コースで他を寄せ付けない速さ・強さを発揮した。



予選結果

 
ドライバー
チーム
タイム・備考
PP
 アイルトン・セナ  ロータス・ルノー  1'38"301
2位
 ナイジェル・マンセル  ウイリアムズ・ホンダ  1'38"839
3位
 ネルソン・ピケ  ウイリアムズ・ホンダ  1'39"076
4位
 ルネ・アルヌー  リジェ・ルノー  1'39"689
5位
 ステファン・ヨハンソン  フェラーリ  1'40"312
6位
 ジャック・ラフィット  リジェ・ルノー  1'40"676


決勝結果

 
ドライバー
チーム
タイム・備考
優勝
 アイルトン・セナ  ロータス・ルノー  1゚51'12"847
2位
 ジャック・ラフィット  リジェ・ルノー  1゚51'43"864
3位
 アラン・プロスト  マクラーレン・TAGポルシェ  1゚51'44"671
4位
 ミケーレ・アルボレート  フェラーリ  1゚52'43"783
5位
 ナイジェル・マンセル  ウイリアムズ・ホンダ  1Lap
6位
 リカルド・パトレーゼ  ブラバム・BMW  1Lap
 
     
FL
 ネルソン・ピケ  ウイリアムズ・ホンダ  1'41"233




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