ベルギーGPといえば、日本の夏休みの終わりくらいに行われるイメージがあるが、
この年までは、コースコンディション悪化のために延期された1985年を除き、
序盤戦に行われることが多かった。
翌年以降は10年以上にわたって8月下旬~9月初旬くらいに行われることになる。 金曜、土曜ともに雨が絡んだ「スパ・ウエザー」の中でセッションは進んでいく。 金曜は完全な雨で各車ともベストラップから15秒ほど遅いタイム、セナは5位。 土曜になると雨が降ったり止んだりだがコースコンディションはほぼ回復する。 セナは高速部分でのマシンの不安定さを感じつつも、最強ウイリアムズ・ホンダ勢に続き3位。 決勝レースではスタートでセナはピケをかわしマンセルに続き2位につけるが、 後方で多重事故が発生し赤旗再スタート。 2回目のスタートではセナが1回目以上に素晴らしいダッシュを決めて、 1列目のウイリアムズ2台の間をスルスルと抜け出し、一気にトップへ浮上。 マンセル以下を従えてオールージュを駆け上がっていく。 トップを奪われたマンセルだったが、オープニングラップからすぐにセナ追撃に出る。 高速ブランシモン前の右コーナーでセナをアウトから強引にかわそうとした。 しかしこれには無理があり2台は接触。 スピンするようにコースアウトしセナはその場でリタイアを余儀なくされた。 マンセルは、セナがギアを入れ損なったか、あるいはエンジンが「躊躇」したようだったので、 左からセナを追い越そうとした、と主張した。
一方のセナは、 …でも、あんな場所で外側から追い越そうとするなんて、本当に信じられない。 僕はブレーキをいっぱいにかけて、なんとか彼に道をあけようとしたんだけど、 あの状況ではそれにも限りがあるからね。 すでにコーナーを回り始めていたからもう止まることなんてできなかった。」 (「アイルトン・セナ 天才ドライバーの素顔」より) セナが冷静に状況を分析する一方で、 走り続けていたマンセルは17周目でレースをあきらめると、真っ先にロータスのピットへ向かった。 セナに謝るどころか、事故の責任はセナの方にあると確信し、怒りに燃えてやってきたのだ。 そしてセナの襟元をつかもうとした! このときはロータスのメカニックが3人がかりでやっとマンセルを止めたようだ。 ホンダのエンジニアでのちにセナ担当になる木内健雄氏は、このレースが初めてのF1現場となったが、 いきなりセナとマンセルのこの光景を見て、一気にF1が好きになったという。 事故の是非はともかく、濃いキャラクターがそろっていて、 それぞれが真正面からぶつかっていた当時のF1に魅力を感じたのだろう。 当時のライバルたちの「魂のぶつかり合い」が、今となっては、いとおしい…。 |
ドライバー |
チーム |
タイム・備考 |
|
PP |
ナイジェル・マンセル | ウイリアムズ・ホンダ | 1'52"026 |
2位 |
ネルソン・ピケ | ウイリアムズ・ホンダ | 1'53"416 |
3位 |
アイルトン・セナ | ロータス・ホンダ | 1'53"426 |
4位 |
ゲルハルト・ベルガー | フェラーリ | 1'53"451 |
5位 |
ミケーレ・アルボレート | フェラーリ | 1'53"511 |
6位 |
アラン・プロスト | マクラーレン・TAGポルシェ | 1'54"186 |
ドライバー |
チーム |
タイム・備考 |
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優勝 |
アラン・プロスト | マクラーレン・TAGポルシェ | 1゚27'03"217 |
2位 |
ステファン・ヨハンソン | マクラーレン・TAGポルシェ | 1゚27'27"981 |
3位 |
アンドレア・デ・チェザリス | ブラバム・BMW | 1Lap |
4位 |
エディー・チーバー | アロウズ・メガトロン | 1Lap |
5位 |
中嶋 悟 | ロータス・ホンダ | 1Lap |
6位 |
ルネ・アルヌー | リジェ・メガトロン | 2Laps |
リタイア |
アイルトン・セナ | ロータス・ホンダ | 0周、アクシデント |
FL |
アラン・プロスト | マクラーレン・TAGポルシェ | 1'57"153 |