前戦モナコGPで今シーズン初、そしてホンダエンジンで初めて優勝を飾ったセナ。
ここデトロイトはモナコと同じ市街地コース。
ロータス・ホンダ陣営は、アンダートレイ、排気系、エンジン等に改良を施し、連勝を狙う。 しかしセナの前には最強のウイリアムズ・ホンダに乗るマンセルが立ちはだかる。 金曜、土曜共にマンセルがトップ。ただセナも好走を見せ、 同じウイリアムズ・ホンダに乗るピケは抑えて、予選2位・フロントローからのスタートとなった。 決勝レースもマンセル-セナの順で周回を重ねていく。 10周を終えた時点で5秒前後の差になっていった。このときセナのマシンにはブレーキペダルの不具合が生じていた。 2年前の85年のデトロイトでも同じトラブルが発生し、このときはウォールにクラッシュしてしまったが、 今回はペースを少し緩めて走ったという。 さらにこの序盤のペースダウンは、タイヤを温存するといった効果ももたらした。 セナは中盤に1度タイヤ交換を予定していたが、 タイヤの状態もよく、途中からタイヤ無交換作戦を敢行していく。 一方のマンセルは34周目にタイヤ交換のためピットインし、セナがトップに躍り出る。 ここからフレッシュタイヤを装着したマンセルが反撃に出るとも思われたが、 逆にセナがマンセルを上回るラップタイムを刻んでいく。 マンセルは周回遅れに引っかかり、さらに足がつって後退していった。 こうなるとセナに敵はいなくなった。後半の30周は全く危なげない走りで周回を重ね、 2位ピケに30秒以上の大差をつけてトップチェッカーを受けた。 セナは2戦連続市街地コースで優勝。さらにデトロイトでは翌年も優勝を飾り、 3年連続で制覇することになる。 セナは市街地での強さを周囲に完全に印象付けた。 それはすなわち、ドライバーとしてのポテンシャルを認められたともいえる。 市街地や雨のレースではマシンの差が小さくなり、ドライバーの力量がより如実に顕れる。 セナはそんな特異なコンディションで無類の強さを発揮した。 さらに今回のレースではブレーキペダルの不具合が発生したが、 2年もの前の失敗を教訓として生かし、成功に導いた。 セナは過去の苦い経験をも自らの糧として、チャンピオンに向けて成長していった。 |
ドライバー |
チーム |
タイム・備考 |
|
PP |
ナイジェル・マンセル | ウイリアムズ・ホンダ | 1'39"264 |
2位 |
アイルトン・セナ | ロータス・ホンダ | 1'40"607 |
3位 |
ネルソン・ピケ | ウイリアムズ・ホンダ | 1'40"942 |
4位 |
テイリー・ブーツェン | ベネトン・フォード | 1'42"050 |
5位 |
アラン・プロスト | マクラーレン・TAGポルシェ | 1'42"357 |
6位 |
エディー・チーバー | アロウズ・メガトロン | 1'42"361 |
ドライバー |
チーム |
タイム・備考 |
|
優勝 |
アイルトン・セナ | ロータス・ホンダ | 1゚50'16"358 |
2位 |
ネルソン・ピケ | ウイリアムズ・ホンダ | 1゚50'50"177 |
3位 |
アラン・プロスト | マクラーレン・TAGポルシェ | 1゚51'01"685 |
4位 |
ゲルハルト・ベルガー | フェラーリ | 1゚51'18"959 |
5位 |
ナイジェル・マンセル | ウイリアムズ・ホンダ | 1Lap |
6位 |
ジョナサン・パーマー | ティレル・フォード | 3Laps |
FL |
アイルトン・セナ | ロータス・ホンダ | 1'40"464 |