F1サーカスは東欧のハンガリーから2週連続で西隣のオーストリアへ。
前戦は苦しみながらもライバルのリタイアに助けられて2位を得たが、
このオーストリアGPの週末は終始、苦しい戦いを強いられる。 金曜日からセナはロータスのアクティブサスの不調とマシンバランスに悩まされる。 金曜予選は7位。土曜予選は4位ながら2日間の予選全体ではこの年ワーストタイの7位。 シーズンも後半に入り、この後もセナは予選3~4列目からのスタートが多くなっていく。 ただでさえ不完全なアクティブサスを搭載するロータスは、 豊富な資金とテスト機会に恵まれるトップチームとの差が少しずつ開いていく感があった。 決勝レースではスタート直後に多重クラッシュで赤旗中断。 さらに再スタートでも再び多重クラッシュが発生し、2度目の赤旗中断。 3回目のスタートでようやくレースは始まるが、 セナはCVジョイントのトラブルでピットからのスタートになってしまった。 セナは18位から追い上げ、早くも翌周には6つ順位を上げる。 その後もセナは確実かつ果敢に順位を上げ、3周目には10位、13周目にはポイント圏内の6位まで浮上してきた。 そして27周目に3位にまで上がったところでタイヤ交換のためピットイン。 タイヤ交換を終え、セナは6位でレースに復帰した。 このときセナの前方にいたのは、 セナと同じくピットからスタートをしていたアルボレート(フェラーリ)。 そしてセナは4位を走行していたアルボレートに対して、35周目のヘラ・リヒト コーナーで勝負をかける。 しかし2台は接触。セナはアルボレートに追突する形になり、フロントウイング・ノーズを壊してしまった。 「アルボレートが僕の前で幅を寄せてきて、ブレーキにぶつかったんだ。 どうしようもなかったよ。」 (「生涯 アイルトン・セナ」より) セナは壊れたフロントウイング・ノーズを交換するためにピットイン。 9位でレースに復帰して、ここから再び上位を目指して追い上げていく。 そして44周目には6位まで浮上。 さらにファイナルラップではプロスト(マクラーレン)に電気系トラブルが発生し、セナは5位でレースを終えた。 予選7位から決勝レース5位というリザルトだけを見れば特別なものではないのかもしれないが、 その内容はピットスタートからの追い上げ、アルボレートとのバトル、 そして後退後も最後まで諦めない姿勢など、内容の濃いレースだったと思う。 ウイリアムズやマクラーレンなどのトップチームに対して開発で遅れを取られつつあったロータスの中で、 セナはレーサーとしての意志に従い、常に上位を目指して果敢に攻めていくのだった。 |
ドライバー |
チーム |
タイム・備考 |
|
PP |
ネルソン・ピケ | ウイリアムズ・ホンダ | 1'23"357 |
2位 |
ナイジェル・マンセル | ウイリアムズ・ホンダ | 1'23"459 |
3位 |
ゲルハルト・ベルガー | フェラーリ | 1'24"213 |
4位 |
テイリー・ブーツェン | ベネトン・フォード | 1'24"348 |
5位 |
テオ・ファビ | ベネトン・フォード | 1'25"054 |
6位 |
ミケーレ・アルボレート | フェラーリ | 1'25"077 |
7位 |
アイルトン・セナ | ロータス・ホンダ | 1'25"492 |
ドライバー |
チーム |
タイム・備考 |
|
優勝 |
ナイジェル・マンセル | ウイリアムズ・ホンダ | 1゚18'44"898 |
2位 |
ネルソン・ピケ | ウイリアムズ・ホンダ | 1゚19'40"602 |
3位 |
テオ・ファビ | ベネトン・フォード | 1Lap |
4位 |
テイリー・ブーツェン | ベネトン・フォード | 1Lap |
5位 |
アイルトン・セナ | ロータス・ホンダ | 2Laps |
6位 |
アラン・プロスト | マクラーレン・TAGポルシェ | 2Laps |
FL |
ナイジェル・マンセル | ウイリアムズ・ホンダ | 1'28"318 |