金曜日は予選用マシンのエンジンが不調で6位のタイム。
土曜日は午前中のフリー走行で縁石の上を走った時に車体の底を傷つけてしまう。
午後の予選では金曜のタイムを0.8秒縮め、このセッションだけでは2番手のタイムであったが、
2日間のベストタイムでは5番手、3列目からのスタート。 決勝レースはスタートでフェラーリのベルガーとアルボレートをかわして早くも3位に浮上。 マンセル、ピケのウイリアムズ勢に続く。その後セナはウイリアムズ勢からは引き離され、 後続を押さえ込みながら周回を進めていく。 セナはダウンフォースの少ないセッティングでコーナーが遅く、 セナを先頭に後続が数珠つなぎの状態になるが、見事なライン取りで隙を与えない。 この頃すでに、絶対的な速さだけではなく、 自分より速いマシンを押さえ込む術を身につけていたのかもしれない。 40周目過ぎには各車タイヤ交換のためピットイン。 スタートでトップを奪ったマンセルは首位を譲らなかったが、 セナはピケのピットインの間に2位に浮上した。 しかしセナはピットに入ろうとはしない。タイヤ無交換作戦を敢行しようとしていたのだ。 ピットインすれば順位はまた落ちてしまう。 わずかな可能性にかけてセナはそのまま走りつづけた。 見事なマシンコントロールでタイヤを労わりつつ、再び、 迫ってくる後続をコントロールしながら走っていたセナだったが、 タイヤが厳しくペースダウンは避けられず、 レース終盤には、タイヤ交換組のピケ、ヨハンソン(マクラーレン)、 プロスト(マクラーレン)にかわされ、結局5位で完走を果たした。 結果的には順位を落としてしまい、セナの作戦は失敗に終わったのかもしれない。 このレースの結果でわずかに残っていたチャンピオンへの可能性も完全に消滅してしまった。 しかしセナには、ポイントを稼ぐなんて考えは全くなく、勝つか負けるか、それしかなかったのだと思う。 マシンポテンシャル的に勝ち目の少ないロータスでも果敢に勝利や可能な限りの上位を目指す…。 もしかしたら、無難に走っていた方がよい結果がもたらされていたと考えられるレースもあったかもしれない。 でも、僅かな可能性にかけて勝利を目指すその姿勢があったからこそ、 セナの走りは多くの人々に感動を与えたのだと思う。 |
ドライバー |
チーム |
タイム・備考 |
|
PP |
ネルソン・ピケ | ウイリアムズ・ホンダ | 1'22"461 |
2位 |
ナイジェル・マンセル | ウイリアムズ・ホンダ | 1'23"081 |
3位 |
ゲルハルト・ベルガー | フェラーリ | 1'23"164 |
4位 |
ミケーレ・アルボレート | フェラーリ | 1'24"192 |
5位 |
アイルトン・セナ | ロータス・ホンダ | 1'24"320 |
6位 |
テオ・ファビ | ベネトン・フォード | 1'24"523 |
ドライバー |
チーム |
タイム・備考 |
|
優勝 |
ナイジェル・マンセル | ウイリアムズ・ホンダ | 1゚49'12"692 |
2位 |
アラン・プロスト | マクラーレン・TAGポルシェ | 1゚49'34"917 |
3位 |
ステファン・ヨハンソン | マクラーレン・TAGポルシェ | 1゚49'43"510 |
4位 |
ネルソン・ピケ | ウイリアムズ・ホンダ | 1゚49'44"142 |
5位 |
アイルトン・セナ | ロータス・ホンダ | 1゚50'26"199 |
6位 |
フィリップ・アリオー | ローラ・フォード | 1Lap |
FL |
ゲルハルト・ベルガー | フェラーリ | 1'26"986 |