1987年 スペインGP


1987年9月25-27日
スペイン ヘレス サーキット

予選:5位 決勝:5位


金曜日は予選用マシンのエンジンが不調で6位のタイム。 土曜日は午前中のフリー走行で縁石の上を走った時に車体の底を傷つけてしまう。 午後の予選では金曜のタイムを0.8秒縮め、このセッションだけでは2番手のタイムであったが、 2日間のベストタイムでは5番手、3列目からのスタート。

決勝レースはスタートでフェラーリのベルガーとアルボレートをかわして早くも3位に浮上。 マンセル、ピケのウイリアムズ勢に続く。その後セナはウイリアムズ勢からは引き離され、 後続を押さえ込みながら周回を進めていく。

セナはダウンフォースの少ないセッティングでコーナーが遅く、 セナを先頭に後続が数珠つなぎの状態になるが、見事なライン取りで隙を与えない。 この頃すでに、絶対的な速さだけではなく、 自分より速いマシンを押さえ込む術を身につけていたのかもしれない。

40周目過ぎには各車タイヤ交換のためピットイン。 スタートでトップを奪ったマンセルは首位を譲らなかったが、 セナはピケのピットインの間に2位に浮上した。 しかしセナはピットに入ろうとはしない。タイヤ無交換作戦を敢行しようとしていたのだ。 ピットインすれば順位はまた落ちてしまう。 わずかな可能性にかけてセナはそのまま走りつづけた。

見事なマシンコントロールでタイヤを労わりつつ、再び、 迫ってくる後続をコントロールしながら走っていたセナだったが、 タイヤが厳しくペースダウンは避けられず、 レース終盤には、タイヤ交換組のピケ、ヨハンソン(マクラーレン)、 プロスト(マクラーレン)にかわされ、結局5位で完走を果たした。

結果的には順位を落としてしまい、セナの作戦は失敗に終わったのかもしれない。 このレースの結果でわずかに残っていたチャンピオンへの可能性も完全に消滅してしまった。 しかしセナには、ポイントを稼ぐなんて考えは全くなく、勝つか負けるか、それしかなかったのだと思う。 マシンポテンシャル的に勝ち目の少ないロータスでも果敢に勝利や可能な限りの上位を目指す…。

もしかしたら、無難に走っていた方がよい結果がもたらされていたと考えられるレースもあったかもしれない。 でも、僅かな可能性にかけて勝利を目指すその姿勢があったからこそ、 セナの走りは多くの人々に感動を与えたのだと思う。



予選結果

 
ドライバー
チーム
タイム・備考
PP
 ネルソン・ピケ  ウイリアムズ・ホンダ  1'22"461
2位
 ナイジェル・マンセル  ウイリアムズ・ホンダ  1'23"081
3位
 ゲルハルト・ベルガー  フェラーリ  1'23"164
4位
 ミケーレ・アルボレート  フェラーリ  1'24"192
5位
 アイルトン・セナ  ロータス・ホンダ  1'24"320
6位
 テオ・ファビ  ベネトン・フォード  1'24"523


決勝結果

 
ドライバー
チーム
タイム・備考
優勝
 ナイジェル・マンセル  ウイリアムズ・ホンダ  1゚49'12"692
2位
 アラン・プロスト  マクラーレン・TAGポルシェ  1゚49'34"917
3位
 ステファン・ヨハンソン  マクラーレン・TAGポルシェ  1゚49'43"510
4位
 ネルソン・ピケ  ウイリアムズ・ホンダ  1゚49'44"142
5位
 アイルトン・セナ  ロータス・ホンダ  1゚50'26"199
6位
 フィリップ・アリオー  ローラ・フォード  1Lap
 
     
FL
 ゲルハルト・ベルガー  フェラーリ  1'26"986




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