1987年 メキシコGP


1987年10月16-18日
メキシコ アウトドローモ・エルマノス・ロドリゲス

予選:7位 決勝:リタイア


バンピー、というよりひどい凹凸のアウトドローモ・エルマノス・ロドリゲスでは、 ロータスのアクティブサスペンションが有効に働き、またホンダパワーでストレートスピードも群を抜いていた。 しかし低速コーナーではマシンの動きが鈍くなり、1周のタイムに結びつかない。

セナは金曜予選7位、土曜日には2秒以上タイムを更新したがそれでも7位は変わらず。 さらに予選終了間際、最終のベラルタコーナーのバンプに乗りそのままタイヤウォールに激突。 セナによるとホイールが取れてマシンが横滑りしたためだそうだ。 セナは首を痛め、しばらくその場で座り込んでしまったが、 幸いにも大きなケガには至らず決勝レースにもそれほど支障はないようだ。

決勝レースでは7位グリッドから確実な走りを見せ順位を上げていく。 ブーツェン(ベネトン)やベルガー(フェラーリ)などの上位陣の脱落もあり、 21周目にはマンセル(ウイリアムズ)に次ぐ2位に浮上。

レースは34周目にワーウィック(アロウズ)の事故で赤旗中断。 当初は68周の予定だったが、事故前の31周と事故後の32周の合計タイムで順位が決定されることになった。

レース再開後もセナはしばし2位を走行するが、 38周目にピケ(ウイリアムズ)にかわされて3位へ後退。 同じホンダエンジンを搭載していたが、シャシーの差が歴然としていた。

それでもセナは最強のウイリアムズ・ホンダに次いで3位を力走していたが、 残り9周となった55周目にクラッチトラブルからブレーキがロックしてスピンを喫する。 スピンというとミスのように見えるかもしれないが、 特にセナの場合は実際にはマシントラブルによるものの場合が多く、 単純なヒューマンエラーによるリタイアは極めて少なかったと記憶している。

むしろ、よろしくなかったのはその後だろう。 セナはコース脇にいたマーシャルにマシンを押すように訴えるが、 逆にリタイアを促されてしまい、マーシャルに殴りかかった。 「若気の至り」と言われればそれまでだろう。 もしくはマーシャルによほど嫌な言動・態度を取られたのか? とにもかくにも、セナはこの件で1万5千ドルの罰金を科せられた。

事故やリタイア、そして罰金と少々後味が悪いメキシコGPだったが、 セナはすぐに気持ちを切り替えていく。 そしてF1は10年ぶりに日本へ帰ってくる。 日本のファンが、才能溢れる若きセナの姿を初めて見る日も近づいていった。



予選結果

 
ドライバー
チーム
タイム・備考
PP
 ナイジェル・マンセル  ウイリアムズ・ホンダ  1'18"383
2位
 ゲルハルト・ベルガー  フェラーリ  1'18"426
3位
 ネルソン・ピケ  ウイリアムズ・ホンダ  1'18"463
4位
 テイリー・ブーツェン  ベネトン・フォード  1'18"691
5位
 アラン・プロスト  マクラーレン・TAGポルシェ  1'18"742
6位
 テオ・ファビ  ベネトン・フォード  1'18"992
7位
 アイルトン・セナ  ロータス・ホンダ  1'19"089


決勝結果

 
ドライバー
チーム
タイム・備考
優勝
 ナイジェル・マンセル  ウイリアムズ・ホンダ  1゚26'24"207
2位
 ネルソン・ピケ  ウイリアムズ・ホンダ  1゚26'50"383
3位
 リカルド・パトレーゼ  ブラバム・BMW  1゚27'51"086
4位
 エディ・チーバー  アロウズ・メガトロン  1゚28'05"559
5位
 テオ・ファビ  ベネトン・フォード  2Laps
6位
 フィリップ・アリオー  ローラ・フォード  3Laps
リタイア
 アイルトン・セナ  ロータス・ホンダ  54周、クラッチトラブルからスピン
 
     
FL
 ネルソン・ピケ  ウイリアムズ・ホンダ  1'19"132




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