前戦ブラジルGPでは、チーム側の不手際から屈辱的な失格を受けたセナだったが、
ヨーロッパに移り気を取り直してレースに挑む。 金曜予選はウエット状態でプロスト(マクラーレン)、セナの順。プロストは雨に弱いといった印象があるが、 彼が嫌うのはウォータースクリーンで前が見えなくなることであって、 濡れた路面でもマシンコントロールは素晴らしい。 土曜になるとコースは乾き、各車大幅にタイムアップ。 セナが2位プロストに0.7秒の差をつけてPP。3位ピケとの差は3秒以上。 速いセナが速いマシンを得るという相乗効果で、予選ではプロストをも圧倒する。 決勝レースはセナが順調なスタートを切り、プロストが出遅れる。プロストはそれでも挽回し、 1周目を6位でコントロールラインを通過するとその後も必死の追い上げを見せ、 8周目には2位に復帰。しかし前方を走るセナとの差はすでに10秒近い。 順調にレースをリードするセナに思われたが、こちらもちょっとした異変が発生していた。 スタート直後に煙がコックピットに入り込んで、その後もギアボックスが緩くなり始めたという。 セナはマシン状態・燃費などをいたわりつつ、プロストとの差を計算しながらそのままレースを走りきり優勝。 プロストとの差は2秒にまで縮まったが、レースは完全にセナがコントロールしていた。 セナは、マシンに負担をかけて後先考えずにがむしゃらに走っているような印象もあるかもしれないが、 実際は、マシンにやさしく様々な要素を考えながら、かつ常に100%かそれ以上のドライビングをしていたように感じる。 この両立ができたのはセナだけだったような気がする。 セナはマクラーレンでの初勝利。セナを象徴するマクラーレンでの華々しい「赤の時代」が始まっていく。 |
ドライバー |
チーム |
タイム・備考 |
|
PP |
アイルトン・セナ | マクラーレン・ホンダ | 1'27"148 |
2位 |
アラン・プロスト | マクラーレン・ホンダ | 1'27"919 |
3位 |
ネルソン・ピケ | ロータス・ホンダ | 1'30"500 |
4位 |
アレッサンドロ・ナニーニ | ベネトン・フォード | 1'30"590 |
5位 |
ゲルハルト・ベルガー | フェラーリ | 1'30"683 |
6位 |
リカルド・パトレーゼ | ウイリアムズ・ジャッド | 1'30"952 |
ドライバー |
チーム |
タイム・備考 |
|
優勝 |
アイルトン・セナ | マクラーレン・ホンダ | 1゚32'41"264 |
2位 |
アラン・プロスト | マクラーレン・ホンダ | 1゚32'43"598 |
3位 |
ネルソン・ピケ | ロータス・ホンダ | 1Lap |
4位 |
テイリー・ブーツェン | ベネトン・フォード | 1Lap |
5位 |
ゲルハルト・ベルガー | フェラーリ | 1Lap |
6位 |
アレッサンドロ・ナニーニ | ベネトン・フォード | 1Lap |
FL |
アラン・プロスト | マクラーレン・ホンダ | 1'29"685 |