1988年 メキシコGP


1988年5月27-19日
メキシコ アウトドローモ・エルマノス・ロドリゲス

予選:PP(20回目) 決勝:2位


モナコでの屈辱的な単独クラッシュから2週間、 セナは気持ちを新たにメキシコに乗り込んできた。

マクラーレンはモナコでクラッシュしたマシンを修復して持ち込んできた。 またホンダはメキシコGP仕様のエンジンを導入してきた。 これでさらにエンジンとシャシーの効率が上がったという。

予選ではセナはモナコでのショックを感じさせない、相変わらずの速さを見せる。 金曜日に暫定PPを決め、土曜日はコース渋滞でタイムアップならずも1番時計。 結局、金曜日のタイムで通算20回目のPPが決まった。 ちなみに日本人期待の中嶋 悟(ロータス)は自己最高の予選6位を獲得した。

決勝レースでは、スタートでプロスト(マクラーレン)とピケ(ロータス)に先行されて3位にダウンする。 スタート直後に2速に入れたとき、突然ポップオフバルブが開いてしまったのが原因のようだ。 セナはすぐにピケを捕らえるが、その間にトップのプロストは2位以下との差を大きくしていた。 プロストとセナは同じようなラップタイムで、その差がなかなか縮まらない。

さらにセナにはアンダーステアやリアタイヤの消耗、燃費などの問題もあったようだ。 結局、セナは最後までプロストに仕掛けることもできず、7秒差の2位でレースを終えた。 プロストは全周回1位で優勝。期待の中嶋は28周目にターボトラブルでリタイアしている。

レース結果やその過程を見る限りでは、ただ淡々と2位を走っていただけのようにも思えるが、 セナにとってはモナコのリタイア後の初レースとして、とても大きな意味を持っていたようだ。


「僕は確実なドライビングをした。攻撃的ではあるけど、目一杯の攻めじゃなくて、着実にやった。 あんな気持ちになったのは初めてだった。

自分で自分のパワーを感じながらも、そのパワーを押し出すのではなく、 自信を回復するのが先決だと思った。僕はいい成績をおさめるために走った…」  (Number VIDEO「アイルトン・セナが自ら語った魂の軌跡 挑戦と愛」より)


このインタビューを見て、セナはモナコでの単独クラッシュから多くを学び、 このメキシコGPから、レーサーとして新たな段階に入ったような感じがした。 メキシコではやや押さえ気味に走ったというセナだったが、 次のカナダ以降では自身をコントロールしつつもいつもの攻撃的なセナに完全に戻り、 チャンピオンに向けて爆進していくのだった。



予選結果

 
ドライバー
チーム
タイム・備考
PP
 アイルトン・セナ  マクラーレン・ホンダ  1'17"468
2位
 アラン・プロスト  マクラーレン・ホンダ  1'18"097
3位
 ゲルハルト・ベルガー  フェラーリ  1'18"120
4位
 ネルソン・ピケ  ロータス・ホンダ  1'18"946
5位
 ミケーレ・アルボレート  フェラーリ  1'19"626
6位
 中嶋 悟  ロータス・ホンダ  1'20"275


決勝結果

 
ドライバー
チーム
タイム・備考
優勝
 アラン・プロスト  マクラーレン・ホンダ  1゚30'15"737
2位
 アイルトン・セナ  マクラーレン・ホンダ  1゚30'22"841
3位
 ゲルハルト・ベルガー  フェラーリ  1゚31'13"051
4位
 ミケーレ・アルボレート  フェラーリ  1Lap
5位
 デレック・ワーウィック  アロウズ・メガトロン  1Lap
6位
 エディー・チーバー  アロウズ・メガトロン  1Lap
 
     
FL
 アラン・プロスト  マクラーレン・ホンダ  1'18"608




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