1988年 イギリスGP


1988年7月8-10日
イギリス シルバーストン サーキット

予選:3位 決勝:優勝(10回目)


開幕以来、破竹の勢いでPPを獲得してきたセナだったが、前戦フランスGPではPPをプロストに奪われた。 しかしここシルバーストンでは同じマクラーレンのプロストではなく、 フェラーリが一矢を報いる。

金曜日、マクラーレンのセナ、プロストは共にマシンのハンドリングに悩まされ、 その改善のために多くの時間が費やされた。 この間にベルガー、アルボレートのフェラーリ勢が1列目を独占した。

土曜日もマクラーレン勢のハンドリングは大して改善されず、セナはストウコーナーで2度もスピンを喫する。 ただこの時は芸術的にマシンを立て直し、何事もなかったかのように走り去っていったという。

セナはさらにエンジンを載せ換えるといった事態にも見舞われ、 金曜のタイムをわずかに0.171秒だけ縮めただけで、順位は変わらず。 フロントローはフェラーリ勢が奪い、プロストは4位。

決勝レースは雨の中で行われた。トップはPPから無難なスタートを決めたベルガー。 セナは1周目に早くもアルボレートを抜いて2位に浮上し、ベルガーを追走する。

ベルガーと激しくやりあう一方で、セナはレースディスタンスを視野に入れて周回を重ねていく。
「ベルガーのスピードだと、ベルガーも僕も燃料がもたないと思った。それで、スピードを少し緩めた」

そしてチャンスを待って14周目、ウッドコート・コーナーへ向かうところでベルガーをパスし ついに1位に上がった。 その直後、なんと周回遅れのプロストとセナがあわや接触かといった危険な場面があったが、 うまく切り抜ける。コースは水しぶきで視界が非常に悪い。

セナはその後は燃費を気にしつつベルガー以下を引き離して優勝。通算10勝目を飾った。 雨などの特異な状況下ではさらにセナのドライビングが際立つ。

途中まで2位を走行していたベルガーは終盤に後退し、 ベルガーに代わり2位に入ったのはこの年ここまで全レースリタイアと全くいいところがなかったマンセル(ウイリアムズ)。 マンセルは地元イギリスではやたらといい走りを見せる。

プロストは一番嫌いな水しぶきに加え、ハンドリングが改善されずクラッチにも問題を抱え、16位走行中の25周目にリタイア。 こちらは全くいいところがなくレースを終えた。

セナは前に走っているマシンをすぐに抜くことだけを考えず、 レース全体を冷静に分析し、組み立てていった。 これもプロストから学んだことなのだろうか? 速さに加え、レースでのうまさ・強さを兼ね備えたセナは、この後の中盤戦を圧巻していく。



予選結果

 
ドライバー
チーム
タイム・備考
PP
 ゲルハルト・ベルガー  フェラーリ  1'10"133
2位
 ミケーレ・アルボレート  フェラーリ  1'10"332
3位
 アイルトン・セナ  マクラーレン・ホンダ  1'10"616
4位
 アラン・プロスト  マクラーレン・ホンダ  1'10"736
5位
 マウリシオ・グージェルミン  マーチ・ジャッド  1'11"745
6位
 イワン・カペリ  マーチ・ジャッド  1'12"006


決勝結果

 
ドライバー
チーム
タイム・備考
優勝
 アイルトン・セナ  マクラーレン・ホンダ  1゚33'16"367
2位
 ナイジェル・マンセル  ウイリアムズ・ジャッド  1゚33'39"711
3位
 アレッサンドロ・ナニーニ  ベネトン・フォード  1゚34'07"581
4位
 マウリシオ・グージェルミン  マーチ・ジャッド  1゚34'27"745
5位
 ネルソン・ピケ  ロータス・ホンダ  1゚34'37"202
6位
 ディレック・ワーウィック  アロウズ・メガトロン  1Lap
 
     
FL
 ナイジェル・マンセル  ウイリアムズ・ジャッド  1'23"308




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