開幕以来、破竹の勢いでPPを獲得してきたセナだったが、前戦フランスGPではPPをプロストに奪われた。
しかしここシルバーストンでは同じマクラーレンのプロストではなく、
フェラーリが一矢を報いる。 金曜日、マクラーレンのセナ、プロストは共にマシンのハンドリングに悩まされ、 その改善のために多くの時間が費やされた。 この間にベルガー、アルボレートのフェラーリ勢が1列目を独占した。 土曜日もマクラーレン勢のハンドリングは大して改善されず、セナはストウコーナーで2度もスピンを喫する。 ただこの時は芸術的にマシンを立て直し、何事もなかったかのように走り去っていったという。 セナはさらにエンジンを載せ換えるといった事態にも見舞われ、 金曜のタイムをわずかに0.171秒だけ縮めただけで、順位は変わらず。 フロントローはフェラーリ勢が奪い、プロストは4位。 決勝レースは雨の中で行われた。トップはPPから無難なスタートを決めたベルガー。 セナは1周目に早くもアルボレートを抜いて2位に浮上し、ベルガーを追走する。
ベルガーと激しくやりあう一方で、セナはレースディスタンスを視野に入れて周回を重ねていく。 そしてチャンスを待って14周目、ウッドコート・コーナーへ向かうところでベルガーをパスし ついに1位に上がった。 その直後、なんと周回遅れのプロストとセナがあわや接触かといった危険な場面があったが、 うまく切り抜ける。コースは水しぶきで視界が非常に悪い。 セナはその後は燃費を気にしつつベルガー以下を引き離して優勝。通算10勝目を飾った。 雨などの特異な状況下ではさらにセナのドライビングが際立つ。 途中まで2位を走行していたベルガーは終盤に後退し、 ベルガーに代わり2位に入ったのはこの年ここまで全レースリタイアと全くいいところがなかったマンセル(ウイリアムズ)。 マンセルは地元イギリスではやたらといい走りを見せる。 プロストは一番嫌いな水しぶきに加え、ハンドリングが改善されずクラッチにも問題を抱え、16位走行中の25周目にリタイア。 こちらは全くいいところがなくレースを終えた。 セナは前に走っているマシンをすぐに抜くことだけを考えず、 レース全体を冷静に分析し、組み立てていった。 これもプロストから学んだことなのだろうか? 速さに加え、レースでのうまさ・強さを兼ね備えたセナは、この後の中盤戦を圧巻していく。 |
ドライバー |
チーム |
タイム・備考 |
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PP |
ゲルハルト・ベルガー | フェラーリ | 1'10"133 |
2位 |
ミケーレ・アルボレート | フェラーリ | 1'10"332 |
3位 |
アイルトン・セナ | マクラーレン・ホンダ | 1'10"616 |
4位 |
アラン・プロスト | マクラーレン・ホンダ | 1'10"736 |
5位 |
マウリシオ・グージェルミン | マーチ・ジャッド | 1'11"745 |
6位 |
イワン・カペリ | マーチ・ジャッド | 1'12"006 |
ドライバー |
チーム |
タイム・備考 |
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優勝 |
アイルトン・セナ | マクラーレン・ホンダ | 1゚33'16"367 |
2位 |
ナイジェル・マンセル | ウイリアムズ・ジャッド | 1゚33'39"711 |
3位 |
アレッサンドロ・ナニーニ | ベネトン・フォード | 1゚34'07"581 |
4位 |
マウリシオ・グージェルミン | マーチ・ジャッド | 1゚34'27"745 |
5位 |
ネルソン・ピケ | ロータス・ホンダ | 1゚34'37"202 |
6位 |
ディレック・ワーウィック | アロウズ・メガトロン | 1Lap |
FL |
ナイジェル・マンセル | ウイリアムズ・ジャッド | 1'23"308 |