前戦イギリスGPで、開幕からの連続PP記録がストップしつつも、予選3位から雨のレースを確実に制したセナ。
ストレート・全開区間が長いここホッケンハイムでは、予選からホンダパワーを最大限に引き出し、
他のチームを寄せ付けない。 予選では、金曜日はエンジンパワーが上がらなかったとはいえトップタイムをマーク。 そして土曜日は気温・湿度ともに高く、タイムアップは望めないと判断。 セナはフルタンク(ガソリンを多め)で決勝レース用のセッティングを煮詰める。 土曜日だけでは10位だったが、金曜のタイムでPPには十分だった。 「アランにPPをとられてしまったら最悪だ。けれども、このサーキットではそれはあまり心配じゃなかった。 結局僕たちは、レース用のセッティングで走ることに意味がある、と判断したんだ」 (「生涯 アイルトン・セナ」より) 決勝レースでは前戦に続き雨のレースとなった。 雨はそれほど強くなかったが、路面が濡れていたため全車レインタイヤでグリッドに着く。 セナは好スタートをきりトップを守り、予選2位のプロストは出遅れて4位に落ちる。 前戦イギリスGPでは、雨の中果敢に攻めるセナに対して、 プロストは不甲斐ないレースをしたとして報道陣の批判の的になっていた。 スタートは失敗したが、「雨に弱い」という風評を払拭するかのように、 プロストは必死に追い上げていく。 そしてプロストは11周して2位のポジションを取り返した。 しかしその頃セナはすでに13秒も前方にいた。 その後もセナはプロストとの差をコントロールして、危なげない走りで周回を重ねていく。 結局セナは全周回1位でそのままゴールし、雨のレースを連勝。 傍目からは「楽勝」のようにも見えたが、セナにとっては有意義なレースだったようだ。 「アランが激しくプッシュしていたから、差を維持することに集中したよ。 一度もストップせずに、ウエットタイヤでレースを完走するのは簡単じゃない。 それだけに(この年)5度目のこの優勝は格別だった」 (「生涯 アイルトン・セナ」より) これで、一時は18点もの差があったプロストとセナのポイント差はわずか3点となり、完全に射程圏内に捕らえた。 セナの勢いは止まらず、この後も激しいチャンピオン争いを展開していくのだった。 |
ドライバー |
チーム |
タイム・備考 |
|
PP |
アイルトン・セナ | マクラーレン・ホンダ | 1'44"596 |
2位 |
アラン・プロスト | マクラーレン・ホンダ | 1'44"873 |
3位 |
ゲルハルト・ベルガー | フェラーリ | 1'46"115 |
4位 |
ミケーレ・アルボレート | フェラーリ | 1'47"154 |
5位 |
ネルソン・ピケ | ロータス・ホンダ | 1'47"681 |
6位 |
アレッサンドロ・ナニーニ | ベネトン・フォード | 1'48"208 |
ドライバー |
チーム |
タイム・備考 |
|
優勝 |
アイルトン・セナ | マクラーレン・ホンダ | 1゚32'54"188 |
2位 |
アラン・プロスト | マクラーレン・ホンダ | 1゚33'07"797 |
3位 |
ゲルハルト・ベルガー | フェラーリ | 1゚33'46"283 |
4位 |
ミケーレ・アルボレート | フェラーリ | 1゚34'35"100 |
5位 |
イワン・カペリ | マーチ・ジャッド | 1゚34'43"794 |
6位 |
テイリー・ブーツェン | ベネトン・フォード | 1Lap |
FL |
アレッサンドロ・ナニーニ | ベネトン・フォード | 2'03"032 |