長いストレートがなく低速で曲がりくねったハンガロリンクでは、
ターボエンジンとNAエンジンのパワー差がラップタイムに影響しにくくなり、
ホンダエンジンの相対的アドバンテージが小さくなる。
そしてNA勢のウイリアムズやベネトンが善戦する。 セナは金曜予選、終了間際にアタックをかけるがクリアラップを取れずに5位。 土曜予選ではしっかりと指定席であるPPを獲得した。しかし、マンセル(ウイリアムズ)が0.1秒差の2位、 3位ブーツェン(ベネトン)は0.3秒差と接近。プロストは7位に沈む。 プロストはレースカーのエンジンに振動が出たので、スペアカーで走ったためだ。 レースはセナが終始リードする。マンセルやブーツェンなどもセナに食い下がるが、 攻め落とすまでには至らない。7位スタートのプロストはジリジリと順位を上げ、47周目には2位に上がる。 この時点でセナとプロストの差は2秒。 そして49周目のホームストレート、2台の周回遅れのマシンの処理にセナが一瞬ためらう間に プロストは一気にセナとの差を詰め、セナのイン側に並び、 1コーナーをオーバースピード気味にセナの前に出た。 セナはあえてブロックしようとはしなかった。 プロストがオーバースピードでコーナー出口でアウト側に膨らむと予測し、 1コーナーの出口でインに入り、巻き返そうとしたのだ。そしてそれは現実のものとなる。 非常にクリーンなライン取りで数秒間明け渡したトップの座を再び奪い返した。 セナとプロストはその後、大きなバトルのないまま最終的には0.5秒差でレースを終える。 これでセナはドライバーズ・ポイントでプロストに並んだ。 しかしそれ以上に49周目の攻防は、F1の実質的覇権がそれまでのプロストからセナに移った瞬間であったと捉える人も多い。 だがプロストもこの年、終盤までセナを苦しめ、翌年にはセナに不運が重なったという要素があったものの王座を奪い返すなど、 以後もセナの前に立ちはだかることになる。 |
ドライバー |
チーム |
タイム・備考 |
|
PP |
アイルトン・セナ | マクラーレン・ホンダ | 1'27"635 |
2位 |
ナイジェル・マンセル | ウイリアムズ・ジャッド | 1'27"743 |
3位 |
テイリー・ブーツェン | ベネトン・フォード | 1'27"970 |
4位 |
イワン・カペリ | マーチ・ジャッド | 1'28"350 |
5位 |
アレッサンドロ・ナニーニ | ベネトン・フォード | 1'28"493 |
6位 |
リカルド・パトレーゼ | ウイリアムズ・ジャッド | 1'28"569 |
ドライバー |
チーム |
タイム・備考 |
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優勝 |
アイルトン・セナ | マクラーレン・ホンダ | 1゚57'47"081 |
2位 |
アラン・プロスト | マクラーレン・ホンダ | 1゚57'47"610 |
3位 |
テイリー・ブーツェン | ベネトン・フォード | 1゚58'18"491 |
4位 |
ゲルハルト・ベルガー | フェラーリ | 1゚59'15"751 |
5位 |
マウリシオ・グージェルミン | マーチ・ジャッド | 1Lap |
6位 |
リカルド・パトレーゼ | ウイリアムズ・ジャッド | 1Lap |
FL |
アラン・プロスト | マクラーレン・ホンダ | 1'30"639 |