3連勝中で波に乗るセナは、得意のスパでも他を寄せ付けない走りを見せる。 金曜予選では、タルキーニ(コローニ)の事故でスピードを緩めざるを得なかったが、 それでもチームメイトのプロストに0.4秒の差をつけて暫定PP。 土曜日は雨でタイムアップならずセナもマシンのセットアップに専念。 結局、金曜の結果が予選順位になった。 セナはこの年9回目のPPで、ニキ・ラウダ、ロニー・ピーターソン、ネルソン・ピケの シーズン最多PP記録に並んだ。 セナはこの後も記録を大幅に伸ばし、PPは13回を数えることになる。 決勝レースではスタートでセナがホイールスピンしプロストが先行する。 セナとプロストの間には、スタート直後の1コーナー ラ・ソースでは無理な追い越しはしないという 紳士協定が結ばれていたそうだ。 セナはプロストに続き1コーナーを通過していく。 トップを奪われたセナだったが、慌てずプロストの背後にピタリとつけオー・ルージュを駆け上がる。 そしてケメルストレートで横に並び、レ・コームで早くもトップを奪い返した。 プロストも必死に喰らいつこうとするが、セナはプロストを引き離していく。 その後はセナは誰にも脅かされることなく他を圧する独走。 結果的に1周目で勝負が決してしまった。 セナは4連勝でこの年7勝目。 4連勝は16年ぶり、シーズン7勝目は最多記録タイ。 マクラーレンとしてもシーズン最多ポイントを記録して早々とコンストラクターズチャンピオンを決めるなど、 記録ずくめの優勝だった。 ドライバーズポイントでもプロストを逆転しついにポイントリーダーに躍り出た。 最高のマシンを得て、速さとともに安定感も向上したセナは無敵の強さを誇った。 プロストはレース後のインタビューで敗北宣言とも取れるコメントをしているが、 しかしプロストも密かに闘志を燃やし、チャンピオンをかけての熾烈な戦いは続いていくのだった。 |
ドライバー |
チーム |
タイム・備考 |
|
PP |
アイルトン・セナ | マクラーレン・ホンダ | 1'53"718 |
2位 |
アラン・プロスト | マクラーレン・ホンダ | 1'54"128 |
3位 |
ゲルハルト・ベルガー | フェラーリ | 1'54"581 |
4位 |
ミケーレ・アルボレート | フェラーリ | 1'55"665 |
5位 |
リカルド・パトレーゼ | ウイリアムズ・ジャッド | 1'57"138 |
6位 |
テイリー・ブーツェン | ベネトン・フォード | 1'57"455 |
ドライバー |
チーム |
タイム・備考 |
|
優勝 |
アイルトン・セナ | マクラーレン・ホンダ | 1゚28'00"549 |
2位 |
アラン・プロスト | マクラーレン・ホンダ | 1゚28'31"019 |
3位 |
イワン・カペリ | マーチ・ジャッド | 1゚29'16"317 |
4位 |
ネルソン・ピケ | ロータス・ホンダ | 1゚29'24"177 |
5位 |
デレック・ワーウィック | アロウズ・メガトロン | 1゚29'25"904 |
6位 |
エディー・チーバー | アロウズ・メガトロン | 1Lap |
FL |
ゲルハルト・ベルガー | フェラーリ | 2'00"772 |
*3位でゴールしたブーツェンと4位でゴールしたナニーニのベネトン2台は、 使用燃料違反で12月に失格処分が下された。 |