1989年5月5-7日
モナコ モンテカルロ市街地コース
セナは前年のモナコで、2位プロストに1分近い差をつけながら単独クラッシュを喫し、モナコ2勝目を逃した。
悔しさのあまりピットに戻らずそのままモナコにある自宅マンションに帰ってしまうくらいだった。
しかしこの経験からセナは「真の強さ」を得て、再びモナコに戻ってきた。 予選は木曜、土曜共に最速。前年の悪い思い出を払拭するような素晴らしい走りを見せる。 土曜日は自ら「ミスを犯した」とは言うものの、 2位プロストに1秒以上の差をつけるPP。 セナはミスを他のところでカバーしたのか?それともセナにとってのミスは、 他のドライバーにとってミスの範囲内にないような細かなことなのか? いづれにしても、セナはどんなに完璧なドライビングをしても、 常に何かしら問題点を見つけ、限界に挑戦し、向上していった。 「僕は、完璧な走りというものを、まだ一度もしたことがない。後から考えてみると、改善の余地が必ず残っているからね。 10分の1だろうと、数十分の1だろうと、100分の1だろうと、切り詰められるところがいくつもある。~」 (「F1グランプリ特集」より) 決勝レースがスタートしてしばらくはプロストがセナに離されまいとついていったが、 その後、プロストにとってはある意味、セナ以上の「宿敵」、周回遅れのリジェのアルヌーに引っかかり、 なかなか道を譲ってくれない。道を譲るどころか、丁寧にラインを閉めてくる。セナはその間にプロストとの差を広げた。 プロストはさらに、道幅の狭いモナコゆえ、ピケとデ・チェザリスのクラッシュで道が塞がれ立ち往生してしまい、 大きくタイムロスをしてしまう。 セナはレース後半、1速、2速のギアを失ってしまったが、最後まで丁寧にドライブし、プロストに52秒の差をつけて優勝。 今回は最後まで集中力を切らさず、 前年の屈辱的な単独クラッシュを乗り越え、そして自らの強さにしていった。 試練を克服し、さらなる強さを得たセナ。 この年から5年連続してモナコを制し、いつしか「モナコマイスター」と呼ばれるようになっていくのだった。 |
ドライバー |
チーム |
タイム・備考 |
|
PP |
アイルトン・セナ | マクラーレン・ホンダ | 1'22"308 |
2位 |
アラン・プロスト | マクラーレン・ホンダ | 1'23"456 |
3位 |
テイリー・ブーツェン | ウイリアムズ・ルノー | 1'24"332 |
4位 |
マーティン・ブランドル | ブラバム・ジャッド | 1'24"580 |
5位 |
ナイジェル・マンセル | フェラーリ | 1'24"735 |
6位 |
デレック・ワーウィック | アロウズ・フォード | 1'28"308 |
ドライバー |
チーム |
タイム・備考 |
|
優勝 |
アイルトン・セナ | マクラーレン・ホンダ | 1゚53'33"251 |
2位 |
アラン・プロスト | マクラーレン・ホンダ | 1゚54'25"780 |
3位 |
ステファノ・モデナ | ブラバム・ジャッド | 1Lap |
4位 |
アレックス・カッフィ | ダラーラ・フォード | 2Laps |
5位 |
ミケーレ・アルボレート | ティレル・フォード | 2Laps |
6位 |
マーティン・ブランドル | ブラバム・ジャッド | 2Laps |
FL |
アラン・プロスト | マクラーレン・ホンダ | 1'25"501 |