1989年7月14-16日
イギリス シルバーストン サーキット
ここ3戦セナは優勝・表彰台はおろか入賞もなく、
不本意なマシントラブルでチェッカーを受けることすらできずにいた。
(カナダGPは残り3周でマシンが壊れ7位完走扱い、実質3戦連続リタイア)
また得意の予選でも2戦続けてチームメイトのプロストにPPを奪われており、
なんとしても流れを変えていきたい。 マクラーレンはここシルバーストンに 新しい横置きギアボックスと改変型リアサスペンションを持ち込んできた。 しかしオイル系統のトラブルが多発し、気を使いながらで思い切ったアタックができない。 さらにエンジンも不調で、スペアカーでの戦いを強いられる。 それでもセナは限られた状況の中でベストを尽す。 金曜日はアタック中にウッドコート・コーナーでアレジのクラッシュがあり、 黄旗で若干スピードを緩めざるを得なかったが最速タイム。 土曜日は各車タイムアップできない中、セナとプロストは自らのタイムをさらに縮めてくる。 セナはわずか0.025秒であるがタイムアップし、3戦ぶりのPPを決定付けた。 決勝レースではプロストが見事なスタートを切り先行する。 しかしセナもすぐにコプス・コーナーでプロストをかわし、トップを奪い返す。 プロストによれば、あと10cm近づいていたらクラッシュしていたというほど、ギリギリの攻防だった。 これもセナとプロストだからこそ大事故に至らなかったような気がする。 抜くほうも抜かれるほうも超一流だからこその攻防…。
セナに抜かれたプロストだったが、引き離れまいとセナに一定の間隔で喰らいついていく。
しかしそのトップを疾走していたセナの方には、スタート時からギアのトラブルを抱えていた。
そしてセナは12周目のベケッツ・コーナーでスピンしながらコースアウトしていく。 一見、単独スピンということでセナのミスのように見えるときでも、 実はトラブルを抱えている場合が多く、セナ自身による完全な致命的ミスはほとんどなかったと思われる。 このレースでも、並みのドライバーであれば スタート早々にコントロールできずにコースを外れていただろうと思う。 レースはプロストがそのまま優勝し、セナとのポイント差をさらに広げた。 2位には地元イギリスでやたらと強いマンセルが入った。 セナは4戦連続で不運なトラブルに見舞われノーポイントが続いていたが、 気を取り直して後半戦に望んでいくのだった。 |
ドライバー |
チーム |
タイム・備考 |
|
PP |
アイルトン・セナ | マクラーレン・ホンダ | 1'09"099 |
2位 |
アラン・プロスト | マクラーレン・ホンダ | 1'09"266 |
3位 |
ナイジェル・マンセル | フェラーリ | 1'09"488 |
4位 |
ゲルハルト・ベルガー | フェラーリ | 1'09"855 |
5位 |
リカルド・パトレーゼ | ウイリアムズ・ルノー | 1'09"865 |
6位 |
マウリシオ・グージェルミン | マーチ・ジャッド | 1'10"336 |
ドライバー |
チーム |
タイム・備考 |
|
優勝 |
アラン・プロスト | マクラーレン・ホンダ | 1゚19'22"131 |
2位 |
ナイジェル・マンセル | フェラーリ | 1゚19'41"500 |
3位 |
アレッサンドロ・ナニーニ | ベネトン・フォード | 1゚20'10"150 |
4位 |
ネルソン・ピケ | ロータス・ジャッド | 1゚20'28"866 |
5位 |
ピエルルイジ・マルティニ | ミナルディ・フォード | 1Lap |
6位 |
ルイス-ペレス・サーラ | ミナルディ・フォード | 1Lap |
リタイア |
アイルトン・セナ | マクラーレン・ホンダ | 11周、ギアトラブルからスピン |
FL |
ナイジェル・マンセル | フェラーリ | 1'12"017 |