1989年7月28-30日
ドイツ ホッケンハイムリンク
ここ数戦、セナにだけ不運なトラブルが度重なり、プロストとのポイント差も20点に開いてしまった。
シーズンも半分が終わり、このドイツGPからは後半戦に突入する。少しでもポイント差を詰めておきたいところだ。 しかしセナは気合が入りすぎたのか、金曜午前のフリー走行ではスピンしクラッシュ、マシンを壊してしまう。 セナは自らのミスを認めた。その修理作業は予選終了の20分前まで行われた。 セナはそこから果敢にアタックし、 たった4周しただけでプロストに約1秒の差をつけていとも簡単に暫定PPを獲得してしまった。 ちなみにこの予選中に縁石に乗り上げた際にモノコックにダメージを受けて、 テストカーが急遽呼ばれることとなった。 土曜日もセッション1位であったがタイムアップならず、 金曜のタイムがPPタイムとなった。 決勝レースはベルガー(フェラーリ)が見事なスタートを決めトップに躍り出る。 しかしセナ、プロストがすぐにベルガーをかわし、 早くもマクラーレンの1‐2体制が完成、周回を重ねていく。 セナは19周目まで1位をキープし、その後タイヤ交換のためピットイン。 しかしここでタイヤ交換に手間取り、20秒以上ものタイムロスを余儀なくされた。 ロン・デニスの話によると、右リア担当のメカニックが、 ホイールをしっかり装着できたか心配になり、もう一度やり直したそうだ。 確かに1991年ポルトガルGPのマンセルのように、タイヤが外れてしまったら元も子もないのだが…。 これでプロストに先行を許してしまった。セナは3秒遅れでコースに復帰し、 必死にプロストとの差を詰めながら追いかける。 そしてレースが残り3周になったところで、今度はプロストにギアボックスのトラブルが発生した。 セナはこれで楽にプロストをかわし1位に返り咲き、このまま第4戦メキシコGP以来のトップチェッカーを受けた。 途中、不運なトラブルでプロストにトップを奪われるが、 結果的にはPP、優勝、FLを記録し、いわゆる「ハットトリック」を達成した。 プロストもトラブルを抱えながら何とかゴールまではたどり着き、 しっかりと2位を確保しポイント差は3点だけ縮まって17点差に。 この辺がいかにもプロストらしいうまさである。 ポイント差はまだ大きいが、セナも諦めることなく全力で逆転チャンピオンを目指していくのであった。 |
ドライバー |
チーム |
タイム・備考 |
|
PP |
アイルトン・セナ | マクラーレン・ホンダ | 1'42"300 |
2位 |
アラン・プロスト | マクラーレン・ホンダ | 1'43"295 |
3位 |
ナイジェル・マンセル | フェラーリ | 1'44"020 |
4位 |
ゲルハルト・ベルガー | フェラーリ | 1'44"467 |
5位 |
リカルド・パトレーゼ | ウイリアムズ・ルノー | 1'44"511 |
6位 |
テイリー・ブーツェン | ウイリアムズ・ルノー | 1'44"702 |
ドライバー |
チーム |
タイム・備考 |
|
優勝 |
アイルトン・セナ | マクラーレン・ホンダ | 1゚21'43"302 |
2位 |
アラン・プロスト | マクラーレン・ホンダ | 1゚22'01"453 |
3位 |
ナイジェル・マンセル | フェラーリ | 1゚23'06"556 |
4位 |
リカルド・パトレーゼ | ウイリアムズ・ルノー | 1Lap |
5位 |
ネルソン・ピケ | ロータス・ジャッド | 1Lap |
6位 |
デレック・ワーウィック | アロウズ・フォード | 1Lap |
FL |
アイルトン・セナ | マクラーレン・ホンダ | 1'45"884 |