1989年　ハンガリーＧＰ

1989年8月11-13日
ハンガリー　ハンガロリンク

予選：２位　決勝：２位

中盤戦に入り不運なトラブルに見舞われていたセナだったが、 前戦ドイツＧＰで５戦ぶりの勝利を飾りなんとかトンネルは抜けた。 ここハンガリーで連勝し一気に波に乗りたいところだ 金曜予選はマシンバランスの問題があり、またアタック中にスロー走行していた ワーウィック（アロウズ）とグルイヤール（リジェ）に引っかかるなどして、６位。 土曜予選ではこのセッションで最速タイムを出したが、 金曜１位のパトレーゼ（ウイリアムズ）のタイムには届かず、２日間の予選全体では２位。 セナはいくつかミスを犯したと言っているが、それ以上にパトレーゼのアタックが素晴らしかった。 パトレーゼはこのときＦ１参戦13年目で６年ぶりのＰＰ。セナも素直にパトレーゼの走りを賞賛した。 決勝レースでもパトレーゼが好スタートを切り、セナがそれに続く。 長いストレートがなく曲がりくねったハンガロリンクではホンダパワーが生かしきれず、 セナはパトレーゼを捕らえきれない。 抜きどころが少ないゆえ、後方もそれぞれの順位で集団を形成してレースが進んでいった。 そんな中で予選12位から前方の敵を次々とパスしていくマシンがあった。 真紅のフェラーリに乗ったマンセルである。 マンセルはあっという間にポイント圏内まで追い上げ、しばし戦況を見つめる。 トップ争いは中盤を過ぎても相変わらずパトレーゼとセナが一定の間隔で争っていた。 しかしセナはついに53周目のホームストレートでパトレーゼの真後ろにつき、 一度アウト側にマシンをふってフェイントをかけ、その後すぐにイン側に切り込みパトレーゼをパスした。 パトレーゼはその後まもなくエンジントラブルでリタイアしている。 もしかしたらセナに抜かれた時点ですでにエンジンに支障をきたしていたのかもしれない。 ともあれこれでハンガリーＧＰの週末を大いに盛り上げたパトレーゼの仕事は終わったが、 彼の能力を改めて証明するには十分なレース内容だった。 そしてセナに続いてパトレーゼをパスし２位に上がったのがマンセルであった。 マンセルはあっという間にセナとの間隔を１秒前後まで詰め、セナの隙を伺う。 ペース的にはコーナー特性に優れるフェラーリのマンセルの方が速かったが、 セナも自らの腕で必死に対抗する。 しかしこの二人の対決は少し意外な形で一瞬のうちに決する。 58周目、第３コーナーの右カーブの先でスローダウンしていたヨハンソンにセナが遭遇。 セナはヨハンソンを避けるために軽くブレーキをかけスピードが一瞬鈍った。 マンセルはその隙を見逃さず、一気に２台を抜いていった。 実はマンセルはその手前のコーナーでミスをし、セナとの間に若干のスペースが開いていた、 しかしそのことが逆に幸いし、またマンセルの抜群の反射神経も手伝い、 一瞬のオーバーテイクを可能にした。 セナはマンセルのペースについていけず、また終盤にはタイヤの異常振動を感じたこともあり、 無理をせずポジションキープに徹した。 結局マンセルが開幕戦以来の優勝を飾り、セナも無難にマシンをゴールまで導き２位でフィニッシュ。 このレースは、予選12位から最後はセナを豪快にオーバーテイクしたマンセルのベストレースの一つとして 記憶に残されていくだろう。セナも「いいレースだった」と振り返っている。 セナは多くの強力なライバルがいたからこそより輝き、 またライバルたちもセナがいたからこそ、闘志をむき出しに真正面からぶつかっていったのだろう。 そして数々の名レースが残されていった。

予選結果

決勝結果

1989年ドイツＧＰ　←

→　1989年ベルギーＧＰ

TOPへもどる