1989年 ポルトガルGP


1989年9月22-24日
ポルトガル アウトドローモ・ド・エストリル

予選:PP(39回目) 決勝:リタイア


前戦イタリアGPではエンジントラブルに見舞われ、プロストとのポイント差はさらに広がってしまった。 残りレースが少なくなるにつれ、セナにはより一層厳しい状況になってくる。 少しでもプロストよりも多くのポイントを稼ぎ、逆転王座に賭けたいところだ。

予選ではホンダがスペック5エンジンを投入。 セナはその期待に応え、金曜・土曜共に最速。 金曜日にはマシンに原因不明の問題、土曜日にはアタック中にスロー走行のマシンに引っかかるものの、 それでも2位以下に0.5秒以上の差をつけ、いつも通りの文句なしのPP。

決勝レースでは、スタートで予選2位のベルガー(フェラーリ)が先行し、セナは2位へ。 さらに8周目にはマンセル(フェラーリ)にもかわされ、3位へと落ちる。 セミオートマも後半戦になってやっと熟成し、空力性能に優れるフェラーリは、 決勝レースではマクラーレン以上のペースで周回を重ねていく。

レースは中盤までベルガー、マンセル、セナの順。 24周目からはマンセルがベルガーをかわし首位へ。 セナも離されまいと数秒の間隔でついていく。 そしてレースの中間地点の35周目くらいから、各車はタイヤ交換のためピットイン。 セナは36周目にピットインし、5位でレースに復帰する。

トップのマンセルは40周目にピットイン。 しかしマンセルは自分のピットを行きすぎてしまった。 ここで冷静にメカニックの手によって所定の位置に戻れば何の問題もなかったが、 マンセルはピットロード内で禁止されているリバースギアを使い、強引に自らのピットに戻った。

マンセルはコースに戻るが、しばらくすると失格を意味する黒旗が振られた。 しかしマンセルは、黒旗に気付かないのか無視しているのか、そのまま走り続ける。 マンセルによると、西日が逆光になり黒旗に気付かなかったのだという…。

そしてマンセルは、そのとき2位を走行していたセナと遭遇する。 決勝におけるフェラーリは確かにマクラーレンよりも速かった。 マンセルはその勢いのまま、49周目のホームストレートでピタリとセナの背後につき、 1コーナーでセナのインをつき接触。

セナファンから見れば、単なるレーシングアクシデントとしての「接触」ではなく、 「弾き飛ばされた」ようにも感じた。 またピットのロン・デニスからは「マンセルは失格になっている」との情報が無線で入るが、 それは本当に接触の直前だったようだ。

マンセルは、前戦イタリアでフェラーリ入りを表明したプロストと握手した。 そのプロストを援護するためにセナを撃沈させたのではないか、という噂もある。 もしくはマンセルが言うように、本当に黒旗に気付かずに、 2位争いの果てのレーシングアクシデントだったのかもしれない。

接触そのものも、セナが完全に前に出た形でコーナーに侵入していたのでセナには非はなかったが、 チャンピオンシップがかかっていたので、多少譲って安全策を取ることも考えられた。 しかしレーサーとして一瞬一瞬を完全燃焼して、果敢に順位を守ろうとしたのが、いかにもセナらしかった。 ただそのセナらしさが今回は裏目に出てしまったのかもしれない。

アクシデントに巻き込まれた感じのセナに対して、プロストは静かにレースを進め、きっちりと2位へ。 プロストとのポイント差を縮めるどころか、逆に広げられてしまった。 これでセナが逆転でチャンピオンを獲得するには、残り3戦をすべて優勝するしかなくなった。 しかしセナはわずかな可能性も信じて、自らの信念に従い、最後までレーサーとして果敢に攻め続けるのであった。



予選結果

 
ドライバー
チーム
タイム・備考
PP
 アイルトン・セナ  マクラーレン・ホンダ  1'15"468
2位
 ゲルハルト・ベルガー  フェラーリ  1'16"059
3位
 ナイジェル・マンセル  フェラーリ  1'16"193
4位
 アラン・プロスト  マクラーレン・ホンダ  1'16"204
5位
 ピエルルイジ・マルティニ  ミナルディ・フォード  1'16"938
6位
 リカルド・パトレーゼ  ウイリアムズ・ルノー  1'17"281


決勝結果

 
ドライバー
チーム
タイム・備考
優勝
 ゲルハルト・ベルガー  フェラーリ  1゚36'48"546
2位
 アラン・プロスト  マクラーレン・ホンダ  1゚37'21"183
3位
 ステファン・ヨハンソン  オニクス・フォード  1゚37'43"871
4位
 アレッサンドロ・ナニーニ  ベネトン・フォード  1゚38'10"915
5位
 ピエルルイジ・マルティニ  ミナルディ・フォード  1Lap
6位
 ジョナサン・パーマー  ティレル・フォード  1Lap
リタイア
 アイルトン・セナ  マクラーレン・ホンダ  48周、アクシデント
 
     
FL
 ゲルハルト・ベルガー  フェラーリ  1'18"986




TOPへもどる