1989年9月29日-10月1日
スペイン ヘレス サーキット
前戦ポルトガルGPでは、マンセル(フェラーリ)が黒旗無視した挙句にセナと接触し、
セナはリタイアを余儀なくされ貴重なポイントを失った。
セナがチャンピオンになるには、ここから3戦すべて優勝しなければならない。
しかしそんな厳しい状況の中でも、セナはわずかな可能性を信じて全力で走っていく。 金曜日には気合が入りすぎたのか、フォイテク(リアル)のクラッシュにより予選が赤旗中断になるも、 セナはフラッグを無視して(気付かず!?) 走り続けた。 セナにはその時のラップタイムの無効と2万ドルの罰金が科せられた。 しかし土曜日にはセナの計算通りに事が進む。 セナはベルガー(フェラーリ)が1分20秒台に入るのをじっと待ち、 予想通りベルガーがタイムアップをしたのを見ると、さっそうとコースイン。 そしてあっという間にトップタイムを叩き出し、記念すべき40回目のPPを決めた。 決勝レースでもセナが圧倒的な速さ・強さを見せ付ける。 スタートから好ダッシュを決め、序盤は2位ベルガーにプレッシャーをかけられつつもそれを跳ね返し、 危なげない走りで周回を重ねていく。 チャンピオンシップで首位を行くプロストは無理をせず3位を走行。 セナは中盤の30周目にタイヤ交換のためピットインするもトップは譲らない。 残り35周頃からギアボックス、20周頃からはブレーキに問題が生じるが、 マシンをうまくコントロールしていく。 結局、セナはそんなトラブルを少しも感じさせない走りで、 PPから全周回1位でFLまで記録して完全優勝、通算20勝目を果たした。 本当に追い詰められた時こそ力を発揮するのが「英雄」の条件だとすれば、 セナは「真の英雄」だったと思う。 どんなに追い詰められた状況でも決して自分を見失うことなく、プレッシャーをも自らの力にし、 ここぞ、というときの速さ・強さ・集中力は尋常ではなかった。 セナはかすかな可能性を信じて決死の思いで次の鈴鹿に乗り込んでいく。 |
ドライバー |
チーム |
タイム・備考 |
|
PP |
アイルトン・セナ | マクラーレン・ホンダ | 1'20"291 |
2位 |
ゲルハルト・ベルガー | フェラーリ | 1'20"565 |
3位 |
アラン・プロスト | マクラーレン・ホンダ | 1'21"368 |
4位 |
ピエルルイジ・マルティニ | ミナルディ・フォード | 1'21"479 |
5位 |
フィリップ・アリオー | ローラ・ランボルギーニ | 1'21"708 |
6位 |
リカルド・パトレーゼ | ウイリアムズ・ルノー | 1'21"777 |
ドライバー |
チーム |
タイム・備考 |
|
優勝 |
アイルトン・セナ | マクラーレン・ホンダ | 1゚47'48"264 |
2位 |
ゲルハルト・ベルガー | フェラーリ | 1゚48'15"315 |
3位 |
アラン・プロスト | マクラーレン・ホンダ | 1゚48'42"052 |
4位 |
ジャン・アレジ | ティレル・フォード | 1Lap |
5位 |
リカルド・パトレーゼ | ウイリアムズ・ルノー | 1Lap |
6位 |
フィリップ・アリオー | ローラ・ランボルギーニ | 1Lap |
FL |
アイルトン・セナ | マクラーレン・ホンダ | 1'25"779 |