幸先よく開幕戦アメリカで優勝したものの、第2戦地元ブラジルでは中嶋悟(ティレル)と接触し3位、
第3戦サンマリノではホイールのトラブルでリタイアを余儀なくされた。
依然としてポイントリーダーではあるものの、わずか1点差でプロスト(フェラーリ)がつけている。
しかしここモナコではセナの強さが一段と際立つ。 予選では木曜の段階で2位以下を1.2秒引き離す。 それでもセナ自身はいつものように「完璧じゃなかった」とさらに高い次元を追求する。 土曜日は渋滞に阻まれるもののさらにタイムアップ。 クリアラップが取れていたら1分20秒台も夢ではなかった。 とはいっても、木曜のタイムでも十分にPPを取れるタイムだった。 セナだけは他より2つくらい高い次元で走っているのか? レースはスタートでセナが好ダッシュを決めてトップを守ったが、 後方ではプロストとベルガー(マクラーレン)がミラボーで接触し赤旗やり直し。 2回目のスタートでもセナが集中力を維持し好スタート。 「でも、心配だった。トランスミッションの部品に(2回のスタートで) 負担がかかってしまったんじゃないかとね」 (「生涯 アイルトン・セナ」より) その後もセナは後続を引き離し異次元のラップを刻んでいく。 30周目にプロストがリタイアし、2位には新進気鋭のアレジが上がる。 アレジもフェニックスに続き、ここモナコでもストリートコースでキレた走りを見せる。 しかし2位アレジとの差は20秒前後あり、完全にセナがレースの主導権を握っている。 安全圏で周回を進めていたセナだったが、レース終盤になるとエンジンのパワーが低下し始める。 セナはエンジンの回転数を下げてペースダウンし、 2位アレジとの差をコントロールしながら走っていく。 後方ではアレジとベルガー(マクラーレン)が激しい2位争いをしながら速いラップタイムで セナを追い上げていたが、結局1秒の差でセナが逃げ切りトップチェッカーを受けた。 正確に言えば、セナが最小限のペースでレースをコントロールした、とも言えるかもしれない。 FL、全周回1位も記録し完全勝利。これでモナコは2年連続3回目の優勝。 最終的には5年連続6回までその記録を伸ばし、勝ち続けたまま伝説になってしまう。
90年といったらまだセミオートマが普及していなく、 セナも場所によっては片手でモナコの狭いコースを走っていた。 それなのに、セミオートマによって両手でドライブしている時代のドライバーよりも、 完全に、かつ果敢にマシンをコントロールしていたセナはホントに凄かったんだなと感じた。 |
ドライバー |
チーム |
タイム・備考 |
|
PP |
アイルトン・セナ | マクラーレン・ホンダ | 1'21"314 |
2位 |
アラン・プロスト | フェラーリ | 1'21"776 |
3位 |
ジャン・アレジ | ティレル・フォード | 1'21"801 |
4位 |
リカルド・パトレーゼ | ウイリアムズ・ルノー | 1'22"026 |
5位 |
ゲルハルト・ベルガー | マクラーレン・ホンダ | 1'22"682 |
6位 |
テイリー・ブーツェン | ウイリアムズ・ルノー | 1'22"691 |
ドライバー |
チーム |
タイム・備考 |
|
優勝 |
アイルトン・セナ | マクラーレン・ホンダ | 1゚52'46"982 |
2位 |
ジャン・アレジ | ティレル・フォード | 1゚52'48"069 |
3位 |
ゲルハルト・ベルガー | マクラーレン・ホンダ | 1゚52'49"055 |
4位 |
テイリー・ブーツェン | ウイリアムズ・ルノー | 1Lap |
5位 |
アレックス・カフィ | アロウズ・フォード | 2Laps |
6位 |
エリック・ベルナール | ローラ・ランボルギーニ | 2Laps |
FL |
アイルトン・セナ | マクラーレン・ホンダ | 1'24"468 |