1990年 モナコGP


1990年5月24・26-27日
モナコ モンテカルロ市街地コース

予選:PP(45回目) 決勝:優勝(22回目)


幸先よく開幕戦アメリカで優勝したものの、第2戦地元ブラジルでは中嶋悟(ティレル)と接触し3位、 第3戦サンマリノではホイールのトラブルでリタイアを余儀なくされた。 依然としてポイントリーダーではあるものの、わずか1点差でプロスト(フェラーリ)がつけている。 しかしここモナコではセナの強さが一段と際立つ。

予選では木曜の段階で2位以下を1.2秒引き離す。 それでもセナ自身はいつものように「完璧じゃなかった」とさらに高い次元を追求する。 土曜日は渋滞に阻まれるもののさらにタイムアップ。 クリアラップが取れていたら1分20秒台も夢ではなかった。 とはいっても、木曜のタイムでも十分にPPを取れるタイムだった。 セナだけは他より2つくらい高い次元で走っているのか?

レースはスタートでセナが好ダッシュを決めてトップを守ったが、 後方ではプロストとベルガー(マクラーレン)がミラボーで接触し赤旗やり直し。 2回目のスタートでもセナが集中力を維持し好スタート。

「でも、心配だった。トランスミッションの部品に(2回のスタートで) 負担がかかってしまったんじゃないかとね」 (「生涯 アイルトン・セナ」より)

その後もセナは後続を引き離し異次元のラップを刻んでいく。 30周目にプロストがリタイアし、2位には新進気鋭のアレジが上がる。 アレジもフェニックスに続き、ここモナコでもストリートコースでキレた走りを見せる。 しかし2位アレジとの差は20秒前後あり、完全にセナがレースの主導権を握っている。

安全圏で周回を進めていたセナだったが、レース終盤になるとエンジンのパワーが低下し始める。 セナはエンジンの回転数を下げてペースダウンし、 2位アレジとの差をコントロールしながら走っていく。

後方ではアレジとベルガー(マクラーレン)が激しい2位争いをしながら速いラップタイムで セナを追い上げていたが、結局1秒の差でセナが逃げ切りトップチェッカーを受けた。 正確に言えば、セナが最小限のペースでレースをコントロールした、とも言えるかもしれない。 FL、全周回1位も記録し完全勝利。これでモナコは2年連続3回目の優勝。 最終的には5年連続6回までその記録を伸ばし、勝ち続けたまま伝説になってしまう。


あるホームページの掲示板で、こんな書き込みを見たのを覚えている。 その書き込んだ人は95年のモナコGPを観戦し、シューマッハーの走りが他とあまりにも違うのに驚いたそうだ。 しかしその隣にいたヨーロッパ人のオールドファンは、 「90年のセナの走りの方が凄かったよ!」と言ったという。

90年といったらまだセミオートマが普及していなく、 セナも場所によっては片手でモナコの狭いコースを走っていた。 それなのに、セミオートマによって両手でドライブしている時代のドライバーよりも、 完全に、かつ果敢にマシンをコントロールしていたセナはホントに凄かったんだなと感じた。



予選結果

 
ドライバー
チーム
タイム・備考
PP
 アイルトン・セナ  マクラーレン・ホンダ  1'21"314
2位
 アラン・プロスト  フェラーリ  1'21"776
3位
 ジャン・アレジ  ティレル・フォード  1'21"801
4位
 リカルド・パトレーゼ  ウイリアムズ・ルノー  1'22"026
5位
 ゲルハルト・ベルガー  マクラーレン・ホンダ  1'22"682
6位
 テイリー・ブーツェン  ウイリアムズ・ルノー  1'22"691


決勝結果

 
ドライバー
チーム
タイム・備考
優勝
 アイルトン・セナ  マクラーレン・ホンダ  1゚52'46"982
2位
 ジャン・アレジ  ティレル・フォード  1゚52'48"069
3位
 ゲルハルト・ベルガー  マクラーレン・ホンダ  1゚52'49"055
4位
 テイリー・ブーツェン  ウイリアムズ・ルノー  1Lap
5位
 アレックス・カフィ  アロウズ・フォード  2Laps
6位
 エリック・ベルナール  ローラ・ランボルギーニ  2Laps
 
     
FL
 アイルトン・セナ  マクラーレン・ホンダ  1'24"468




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