1990年 カナダGP


1990年6月8-10日
カナダ ジル・ビルヌーブ サーキット

予選:PP(46回目) 決勝:優勝(23回目)


シリーズも中盤戦を迎え、F1サーカスは再び海を越えて北米大陸・カナダへ。 ジル・ビルニューブサーキットは一部公園内の公道を用い、埃っぽくバンピーである。 さらにこの時期の天候が不安定なため、 例年レースは荒れ、意外なチーム・ドライバーが上位にくることがある。

この年は最終予選の土曜日、そして決勝の日曜日に雨の予報がされていたので、 各チームは金曜日から積極的にアタックする。 最初はベネトン勢が好タイムをまとめてくる。 セッション中盤以降はセナとベルガーが交互にトップタイムを応酬し合う。 セナは予選用タイヤでの走りに不満を感じていたが、 最終的には決勝レース用タイヤで一番時計を叩き出す。 それでもセナは、「シケインでミスし、タイムロスしてしまった」と、 完璧への追求は忘れない。

天気予報どおり土曜日は雨。予選の時間帯は雨は止みコースは乾きつつあったが、 それでもコンディションは完全には回復せず、 このセッションでもトップだったセナも、前日よりも10秒落ちのタイム。 結局、金曜のタイム・順位がそのまま決勝グリッドになり、 セナは4戦連続のPPを獲得。

決勝レースも、ウエットからドライに変わりつつあるコンディションで行われた。 スタートでは、ベルガーがフライング気味に飛び出したが、セナはトップを守りレースをリードしていく。 最初の数周は水しぶきがあがるほどで各車ウエットタイヤでスタートしたが、 コースは乾きつつあり10周目前後にスリックタイヤに換えはじめる。 ベルガーは10周目、セナは12周目にピットイン。

セナのピットインの間にナニーニ(ベネトン)が数周トップに立ったが、 各車のスリックタイヤへの交換後は順位が安定していった。 そんな中コントロールタワーでは、 ベルガーのスタートをフライングとし、ペナルティを課すという裁定が下されていた。 ベルガーにはゴールタイムに1分が加算されることになった。

そのことを知ったマクラーレンチームとセナは、ベルガーを先に行かせることにした。 セナにしてみれば、ベルガーから1分以内でゴールできればよかった。 セナは見かけ上2位の位置で、乾き始めてコンディションが変わる難しい状況の中で 全く危なげのない走りを見せる。

前後に敵もなく余裕の走りに見えたセナだったが、 実は1速が壊れ、さらに車高を下げ過ぎたこともあり、 コントロールが難しく、必死にマシンを操りながらリードを保ったのだという。 結局、ベルガーから45秒遅れでゴールし優勝。 ベルガーは決勝タイムに1分が加算され、4位ということになった。 コンディションが変わっていく困難な状況だったが、 上位陣はしっかりと入賞を果たし、この年は大きな番狂わせはなかった。

セナは前戦モナコに続いての連勝。チャンピオンシップポイントを稼いでいく。 ライバルのプロストは、今回のストップ・アンド・ゴーのカナダではあまり目立たなかったが、 しかし、中高速コースが続く次戦以降の中盤戦にフェラーリの強さを発揮させ、 激しい「セナ・プロストバトル」が展開されることになる。



予選結果

 
ドライバー
チーム
タイム・備考
PP
 アイルトン・セナ  マクラーレン・ホンダ  1'20"399
2位
 ゲルハルト・ベルガー  マクラーレン・ホンダ  1'20"465
3位
 アラン・プロスト  フェラーリ  1'20"826
4位
 アレッサンドロ・ナニーニ  ベネトン・フォード  1'21"302
5位
 ネルソン・ピケ  ベネトン・フォード  1'25"568
6位
 テイリー・ブーツェン  ウイリアムズ・ルノー  1'21"599


決勝結果

 
ドライバー
チーム
タイム・備考
優勝
 アイルトン・セナ  マクラーレン・ホンダ  1゚42'56"400
2位
 ネルソン・ピケ  ベネトン・フォード  1゚43'06"897
3位
 ナイジェル・マンセル  フェラーリ  1゚43'09"785
4位
 ゲルハルト・ベルガー  マクラーレン・ホンダ  1゚42'11"254 +1分のペナルティ
5位
 アラン・プロスト  フェラーリ  1゚43'12"220
6位
 デレック・ワーウィック  ロータス・ランボルギーニ  2Laps
 
     
FL
 ゲルハルト・ベルガー  マクラーレン・ホンダ  1'22"077




TOPへもどる