1990年 メキシコGP


1990年6月22-24日
メキシコ アウトドローモ・エルマノス・ロドリゲス

予選:3位 決勝:20位


モナコ、カナダと連勝し、よい流れでセナはメキシコに乗り込む。 しかしこのメキシコから数戦、逆に苦戦を強いられることになる。

金曜日からセナは決勝重視でセッティングを進める。 ホンダは新仕様のエンジンを投入するが、バンピーなコース路面と相まって、タイヤとマシンの挙動に苦しむ。 金曜4位、土曜2位で、2日間の予選全体では3位。

決勝レースではパトレーゼ(ウイリアムズ)が好スタートを切り1コーナーを奪い、 セナ、ベルガー(マクラーレン)らがこれに続いていく。 しかしセナは1周を終えて戻ってきたホームストレートでパトレーゼをパスし、トップに躍り出た。

その後セナは2位以下を引き離しながら周回を重ねていく。 チームメイトのベルガーもパトレーゼをかわし2位に浮上したが、 左フロントタイヤにブリスター(気泡)ができてピットインを余儀なくされていた。 マクラーレンのマシンはタイヤに厳しく負担がかかるようだ。

序盤から中盤にかけてセナは快調にトップを走行していたが、 残り25周くらいになったところでマシンの挙動に異変を感じた。 セナはタイヤの問題だと思っていたようだが、ピットからそのまま走行を続けるように指示されたという。

その頃セナのマシンには、右リアタイヤにスローパンクチャーの症状が発生していた。 セナはペースを落としながら走行を続けていく。 しかし後方からは赤い影が迫りつつあった。フェラーリに乗るプロストだ。

プロストはジリジリとセナに近づき、プレッシャーをかけ始める。 セナもそう簡単に抜かれまいと、絶妙なライン取りでプロストに隙を与えない。 そうこうしているうちにマンセルもこの2人の戦いに加わり、セナvsフェラーリ2台の構図へと変わっていく。

セナのタイヤは限界に近づき、フェラーリに追い立てられていく。 そしてプロストはじっくりと攻め立ててから62周目にセナをかわし、マンセルも次の周にセナをパスしていった。 セナは完走を目指して走るしかなかったが、追い討ちをかけるようにさらに悲運は続く。 64周目にタイヤがついに限界を超えてバーストしてしまった。

セナは周回数の関係で20位完走扱いとなった。 安全策を取って終盤にタイヤ交換をさせる選択肢もあったが、 マクラーレン陣営はなんとかそのまま走行を続けて3位入賞させようとした。 結果的にその作戦は失敗してしまった。

プロストは予選13位からの大逆転優勝。 プロストはこの予選結果にも関わらず、決勝レースには絶対の自信をもって臨んでいたという。 セナのタイヤトラブルまで予期していたかはわからないが、レースの組み立て方・セナへの追い込み方などは見事だった。 おそらくはプロストのF1後期のベストレースだっただろう。

セナ&マクラーレン陣営はこの後の中盤戦、コーナリング特性に優れ、 急速に進歩していくフェラーリに苦戦を強いられることになる。



予選結果

 
ドライバー
チーム
タイム・備考
PP
 ゲルハルト・ベルガー  マクラーレン・ホンダ  1'17"227
2位
 リカルド・パトレーゼ  ウイリアムズ・ルノー  1'17"498
3位
 アイルトン・セナ  マクラーレン・ホンダ  1'17"670
4位
 ナイジェル・マンセル  フェラーリ  1'17"732
5位
 テイリー・ブーツェン  ウイリアムズ・ルノー  1'17"883
6位
 ジャン・アレジ  ティレル・フォード  1'18"282


決勝結果

 
ドライバー
チーム
タイム・備考
優勝
 アラン・プロスト  フェラーリ  1゚32'35"783
2位
 ナイジェル・マンセル  フェラーリ  1゚33'01"134
3位
 ゲルハルト・ベルガー  マクラーレン・ホンダ  1゚33'01"313
4位
 アレッサンドロ・ナニーニ  ベネトン・フォード  1゚33'16"882
5位
 テイリー・ブーツェン  ウイリアムズ・ルノー  1゚33'22"452
6位
 ネルソン・ピケ  ベネトン・フォード  1゚33'22"726
20位
 アイルトン・セナ  マクラーレン・ホンダ  63周、バースト完走扱い
 
     
FL
 アラン・プロスト  フェラーリ  1'17"958




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