中盤戦に入って、フェラーリが本来の力を発揮し始める。操縦性が悪く、
タイヤのタレが早いマクラーレンはホンダパワーとセナの腕でカバーするが、
それとは対照的にコーナーで安定し、決勝セッティングが優れているフェラーリが猛追する。 フランスはプロスト(フェラーリ)の地元。セナが地元ブラジルでなかなか勝てなかったのに対して、 プロストは地元フランスでは毎年のように圧倒的な速さと強さを発揮する。 プロストはフランスで通算6勝をあげ、88、89年では予選でも「ミスターPP」セナよりも速かった。 予選は金曜2位。土曜日はセナにしては珍しく、プロストのように決勝セットアップに専念し、 アタックらしいアタックはしない。PPはマンセル(フェラーリ)、2位ベルガー(マクラーレン)。 セナとプロストは2列目、3位-4位。しかしマンセルとセナの差は0.15秒を切っており、 プロストとの差も0.37秒。接戦が予想される。 決勝レースはオープニングラップでベルガーがマンセルをパス。 翌周にはセナもべルガーに続きマンセルを抜き2位に上がる。 4位スタートのプロストはナニーニ(ベネトン)とパトレーゼ(ウイリアムズ)にかわされ、6位に転落。 ベルガーはストレート重視のセッティングで、トップを快走。 べルガーとセナは1-2体勢で30周目前後に訪れるピットストップまでレースを引っ張る。 最初にベルガーがタイヤ交換のためピットイン。しかしこのとき1速を失ってしまい、タイムロス。 その2周後にはセナがピットに入ってきたが、左リアタイヤにトラブルが生じ、こちらも16秒ものロスをしてしまう。 セナは8位でコース復帰。ここから地道に追い上げていく。 各車タイヤ交換を終え、順位が安定すると、プロストが3位に浮上。 無理なバトルを避け、いつの間にかポジションアップ… このあたりがプロストのプロフェッサーたる所以か? レースは中盤、中堅チームのレイトンハウスのカペリとグージェルミンが1-2走行。 レイトンハウスはデザイナーにエイドリアン・ニューウェイを起用。 彼は後にウイリアムズ、そしてマクラーレンに移籍し、 ウイリアムズFW14Bら多くの空力マシンを生み出し、 1990年代を代表するデザイナーとして活躍することになる。 セナはグージェルミンとナニーニのリタイアなどにも助けられ、3位まで順位を上げてゴールした。 思わぬトラブルもあったが、チャンピオンシップへ貴重な4ポイントを獲得した。 優勝争いはプロストが残り2周でカペリを捉え、見事な逆転優勝で連勝。 フェラーリはF1通算100勝目でさらに勢いに乗る。マクラーレンにとっては苦しい中盤戦が続く。 |
ドライバー |
チーム |
タイム・備考 |
|
PP |
ナイジェル・マンセル | フェラーリ | 1'04"402 |
2位 |
ゲルハルト・ベルガー | マクラーレン・ホンダ | 1'04"512 |
3位 |
アイルトン・セナ | マクラーレン・ホンダ | 1'04"549 |
4位 |
アラン・プロスト | フェラーリ | 1'04"781 |
5位 |
アレッサンドロ・ナニーニ | ベネトン・フォード | 1'05"009 |
6位 |
リカルド・パトレーゼ | ウイリアムズ・ルノー | 1'05"059 |
ドライバー |
チーム |
タイム・備考 |
|
優勝 |
アラン・プロスト | フェラーリ | 1゚33'29"606 |
2位 |
イワン・カペリ | レイトンハウス・ジャッド | 1゚33'38"232 |
3位 |
アイルトン・セナ | マクラーレン・ホンダ | 1゚33'41"212 |
4位 |
ネルソン・ピケ | ベネトン・フォード | 1゚34'10"813 |
5位 |
ゲルハルト・ベルガー | マクラーレン・ホンダ | 1゚34'11"825 |
6位 |
リカルド・パトレーゼ | ウイリアムズ・ルノー | 1゚34'38"957 |
FL |
ナイジェル・マンセル | フェラーリ | 1'08"012 |