中盤戦に入り空力性能・操縦性に優れるフェラーリが躍進し、
セナはカナダGPを最後に3戦連続してPPも優勝もできなかった。
チャンピオンシップも2ポイント差ながらプロスト(フェラーリ)にリードされていた。 しかしここ高速ホッケンハイムにはマクラーレン陣営は必勝を期して乗り込んできた。 ホンダは新しい高回転型のエンジンを投入。そしてセナもその期待に応え、 金曜の段階でダントツの暫定PPを獲得、 土曜日にはレースセッティングに専念する余裕も見せた。 決勝レースではセナが無難なスタートを決めて、チームメイトのベルガーがこれに続いた。 マクラーレンのマシンは高速ホッケンハイムに合っているようで、 快調に周回を重ねていく。 セナは柔らかめのCタイヤを履き、1回のタイヤ交換を予定していた。 そして中盤の19周目にピットイン。 マクラーレンのピットは素早い作業でセナをコースへ送り出した。 ちなみにチャンピオンシップを争うプロストはタイヤ交換に手間取ってタイムロスをしている。 コースに戻ると、セナはナニーニ(ベネトン)の後ろについた。 ナニーニはタイヤ無交換作戦を敢行しようとしていた。 さらにセナのマシンにはパワーダウンの症状も見られたが、 しかしセナは慌てることなく、状況を正確に判断する。 「…パワーを少し失ってしまって、スピードを落とした。 でもナニーニがタイヤ交換しないで走っていることに気がついたんだ。 彼のグリップが徐々に悪くなってくるに従って、 僕は彼との差をつめて、勝負を賭けた。」 (「生涯 アイルトン・セナ」より) ナニーニの背後についたセナは、 左右にフェイントをかけるナニーニの動きを冷静に捉え、34周目にトップを奪い返した。 この段階でレースは残り10周ちょっとだったが、 その後もセナは無難に走り切り、4戦ぶりにトップチェッカーを受けた。 セナは、ここ高速ホッケンハイムでは強力なホンダエンジンとも相まって3年連続制覇を成し遂げ、 無類の強さを発揮した。 またチャンピオンシップ争いでも再びプロストを逆転しポイントリーダーに躍り出て、 チャンピオンに向けて加速していくのだった。 |
ドライバー |
チーム |
タイム・備考 |
|
PP |
アイルトン・セナ | マクラーレン・ホンダ | 1'40"198 |
2位 |
ゲルハルト・ベルガー | マクラーレン・ホンダ | 1'40"434 |
3位 |
アラン・プロスト | フェラーリ | 1'41"732 |
4位 |
ナイジェル・マンセル | フェラーリ | 1'42"057 |
5位 |
リカルド・パトレーゼ | ウイリアムズ・ルノー | 1'42"195 |
6位 |
テイリー・ブーツェン | ウイリアムズ・ルノー | 1'42"380 |
ドライバー |
チーム |
タイム・備考 |
|
優勝 |
アイルトン・セナ | マクラーレン・ホンダ | 1゚20'47"164 |
2位 |
アレッサンドロ・ナニーニ | ベネトン・フォード | 1゚20'53"684 |
3位 |
ゲルハルト・ベルガー | マクラーレン・ホンダ | 1゚20'55"717 |
4位 |
アラン・プロスト | フェラーリ | 1゚21'32"434 |
5位 |
リカルド・パトレーゼ | ウイリアムズ・ルノー | 1゚21'35"192 |
6位 |
テイリー・ブーツェン | ウイリアムズ・ルノー | 1゚22'08"655 |
FL |
テイリー・ブーツェン | ウイリアムズ・ルノー | 1'45"602 |