1990年 スペインGP


1990年9月28-30日
スペイン ヘレスサーキット

予選:PP(50回目) 決勝:リタイア


長く続いたヨーロッパラウンドもここスペインで終わり、チャンピオンシップも佳境に入る。

しかしそんなチャンピオンシップ以上の緊張がサーキットに広がる。 金曜予選、マーティン・ドネリー(ロータス)が大クラッシュ。ドライバーを守るはずのモノコックが真っ二つにちぎれ、 ドネリーはコックピットから投げ出されコース上にうずくまっていた。

幸いにもドネリーは奇跡的に一命を取り留めた。 しかしその悲惨な事故を目の当たりにしたドライバー達、特にセナは大きな衝撃を受けた。 セナは事故原因を追求すると共に、人間がいかに脆い存在であるかということを実感し、涙した。 しかしそんな中でセナは自らの感情を完璧にコントロールしてセッション再開後にスーパーラップを刻みトップタイム。 土曜日にはさらにタイムを更新して、通算50回目のPPを獲得した。

決勝レースはスターティング・グリットのまま、 セナ、プロスト(フェラーリ)、マンセル(フェラーリ)の順で進む。 予選ではプロストに0.4秒の差をつけたセナとマクラーレンだったが、 決勝レースではフェラーリは非常に速く、セナはプロストを突き放せない。

20周目頃から各車タイヤ交換のためのピットインが始まる。 コース上ではセナを抜けないと悟ったプロストはここで早めに動いた。 プロストは25周目にピットインし、6.17秒のタイヤ交換でコース復帰。 一方セナは27周目にピットインし、ピットクルーは5.71秒の早業でコースに送り込んだ。

しかしセナがコースに戻った時、プロストがわずかにセナの前をかすめるように通過していった。 プロストはピットアウト後の数ラップを全速力で走っていたのだ。 「さすがプロスト教授!」…そう思わせるようなシーンであった。 続けざまにマンセルもセナをかわそうとするが、これにはセナは絶妙なライン取りで対抗し2位は死守する。

今度はセナが逆にプロストを追撃しようとするが、決勝セッティングのフェラーリは速い。 さらにセナのマシンにトラブルが発生。ラジエターが破損し水漏れ、 それが原因でオーバーヒートしマシンの警告灯が点灯した。 54周目に入ったところで、セナはゆっくりとコース脇にマシンを止めた。

優勝はプロスト、2位はマンセル。 フェラーリは終盤に来て確実に調子を上げ、打倒・マクラーレン、チャンピオン奪取に燃える。 マクラーレンはホンダエンジンこそパワフルであるが、高速コーナーでは完全にフェラーリに遅れを取っていた。 セナVSプロスト、マクラーレンVSフェラーリ… チャンピオンシップ決定は、鈴鹿に持ち越された。



予選結果

 
ドライバー
チーム
タイム・備考
PP
 アイルトン・セナ  マクラーレン・ホンダ  1'18"387
2位
 アラン・プロスト  フェラーリ  1'18"824
3位
 ナイジェル・マンセル  フェラーリ  1'19"106
4位
 ジャン・アレジ  ティレル・フォード  1'19"604
5位
 ゲルハルト・ベルガー  マクラーレン・ホンダ  1'19"618
6位
 リカルド・パトレーゼ  ウイリアムズ・ルノー  1'19"647


決勝結果

 
ドライバー
チーム
タイム・備考
優勝
 アラン・プロスト  フェラーリ  1゚48'01"461
2位
 ナイジェル・マンセル  フェラーリ  1゚48'23"525
3位
 アレッサンドロ・ナニーニ  ベネトン・フォード  1゚48'36"335
4位
 テイリー・ブーツェン  ウイリアムズ・ルノー  1゚48'44"757
5位
 リカルド・パトレーゼ  ウイリアムズ・ルノー  1゚48'58"991
6位
 鈴木 亜久里  ローラ・ランボルギーニ  1゚49'05"189
リタイア
 アイルトン・セナ  マクラーレン・ホンダ  53周、ラジエター、エンジン
 
     
FL
 リカルド・パトレーゼ  ウイリアムズ・ルノー  1'24"513




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