8回目の挑戦となる地元ブラジルGP。ここまで考えられないようなアクシデントや失格などで
一度もブラジルでは勝てなかった。セナはここインテルラゴスでブラジルの英雄エマーソン・フィッティパルディの
優勝を見て、F1への思いが深まった。すでにF1界の頂点に立ったセナのやりのこした夢の1つは
ここブラジルでの優勝だった。 前レースのアメリカGPではセナの圧勝で終わったが、インテルラゴスに入ると ライバル視されたフェラーリ勢の代わりにウイリアムス勢のマンセル、パトレーゼがセナに肉薄する。 土曜午前、2台のウイリアムズがセナの前を行く。午後の予選でも最初のアタックでトップに立ったものの すぐに0.5秒以上速いタイムで逆転される。なかなかトップに立てなかったが、セッティングを煮詰め残り4分でコースインし、 ギリギリのドライビングで一気に自身のタイムを1秒近く縮め、ウイリアムズ勢を逆転しPP。 セナが限界でアタックしていたのに対し、ウイリアムズ勢にはまだまだ余裕が感じられ、決勝では接戦が予想された。 決勝レースは予選3位のマンセルが2位に上がり、セナとデットヒート。 ピットイン時にセミオートマのギアボックストラブルで15秒近くタイムロスしセナとの間隔が開くが、 すぐに挽回しセナを再び追撃する。しかしマンセルはタイヤのパンクを感じ50周目にピットイン。さらにその後 ギアボックストラブルで大スピン。ゆるゆると動き出したが結局ここでリタイアしてしまう。 マンセルの次はパトレーゼ。20秒以上あった差を急速に詰めて追ってくる。 セナはそのころ3速と5速を失ってしまい、起伏が激しいインテルラゴスを最終的には6速だけで走っていた。 体力は限界に達し、何度もレースを諦めかけたのだと言う。 しかし母国での優勝への執念が天に通じたのか、その差が5秒を切る頃になると空から雨が降り出し、 パトレーゼも思い切って攻められず差の詰まり方が鈍くなる。 結局、2.991秒差で逃げ切り母国ブラジル初制覇。ゴール後、コックピット内で子供のように泣きじゃくる「人間セナ」がそこにいた。 |
ドライバー |
チーム |
タイム・備考 |
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PP |
アイルトン・セナ | マクラーレン・ホンダ | 1'16"392 |
2位 |
リカルド・パトレーゼ | ウイリアムズ・ルノー | 1'16"775 |
3位 |
ナイジェル・マンセル | ウイリアムズ・ルノー | 1'16"843 |
4位 |
ゲルハルト・ベルガー | マクラーレン・ホンダ | 1'17"471 |
5位 |
ジャン・アレジ | フェラーリ | 1'17"601 |
6位 |
アラン・プロスト | フェラーリ | 1'17"739 |
ドライバー |
チーム |
タイム・備考 |
|
優勝 |
アイルトン・セナ | マクラーレン・ホンダ | 1゚38'28"128 |
2位 |
リカルド・パトレーゼ | ウイリアムズ・ルノー | 1゚38'31"119 |
3位 |
ゲルハルト・ベルガー | マクラーレン・ホンダ | 1゚38'33"544 |
4位 |
アラン・プロスト | フェラーリ | 1゚38'47"497 |
5位 |
ネルソン・ピケ | ベネトン・フォード | 1゚38'50"088 |
6位 |
ジャン・アレジ | フェラーリ | 1゚38'51"769 |
FL |
ナイジェル・マンセル | ウイリアムズ・ルノー | 1'20"436 |