1991年 サンマリノGP


1991年4月26-28日
イタリア アウトドローモ・エンツォ・エ・ディノ・フェラーリ(イモラ)

予選:PP(55回目) 決勝:優勝(29回目)


前戦ブラジルGPから1ヶ月以上のインターバルの後、F1サーカスはヨーロッパへ戻る。 その間、サンマリノGPの舞台になるイモラ等で各チームはテストを繰り返し、 マシンを熟成させていく。

セナは開幕2連勝したものの、依然としてウイリアムズの脅威を指摘し、 チームにプレッシャーを与え続けていた。 セナの指摘どおり、ポイントほどの戦闘力の差はなく、 逆にライバルチームがとてつもないポテンシャルを秘めていることに、 この時多くの人はそれほど脅威には思わないのであった。

そしてヨーロッパラウンドが始まっていく。 予選では、金曜にパトレーゼ(ウイリアムズ)、プロスト(フェラーリ)との激しい戦いに打ち勝ち スーパーラップでトップタイムをマーク。 セナは3度のタイムアタックをしたが、左タイヤの負担が少ないことを計算し、 3回目のアタックでは1回目と2回目に使った左タイヤでタイムアタックしていたそうだ。

土曜日はウエットコンディションで 金曜の順位がそのままスターティンググリッドになった。 セナは6戦連続、サンマリノでは85年以来7年連続のPPを決めた。 ちなみに土曜午前に、スペアカーの権利をめぐってセナとベルガーが初めて言い争ったようだ。 しかしそれ以上の問題にはならず、以後も変わらぬ信頼・友情関係が続いた。

日曜日、スタート前に大雨が落ちてくる。 スタート直前には雨は止んだが、ウエットコンディションでレースが始まっていく。 フォーメーションラップではセナがハイペースで隊列をコントロールする。 そんな中で信じられない事件がおきた。 プロストとベルガーがコースアウトし、ベルガーはそのままコースに戻ったものの、 プロストの方は完全に芝生にはまってしまいここでリタイヤすることになってしまった。

決勝レースではスタートで予選2位のパトレーゼが飛び出す。 そしてセナ以下をどんどん引き離していった。 パトレーゼはウイングを立てて比較的ウエット向きのセッティングをしていた。 しかしセナはスタート前にそれを見て、さらに後半はドライコンディションになると予測し、 ウイングを少し寝かせた中間セッティングをしていた。 完全なウエット状態の序盤はしばし我慢の走りを続ける。

セナの後方では、1周目にマンセル(ウイリアムズ)がサスペンショントラブル、 2周目にピケ(ベネトン)がスピン、3周目にはアレジ(フェラーリ)もスピンと、 次々と大物たちが消えていった。 特に地元イモラでフェラーリの2人は最悪な形で早々とレースを終えてしまった。

トップ争いでは、パトレーゼが一時6秒以上の差をつけたが、 次第にコースが乾くにつれてセナはパトレーゼとの差を詰めていった。 10周目にはセナはパトレーゼの背後にピタリとつき、 その周の終わりにパトレーゼはスリックタイヤへの交換のためにピットイン。 しかしパトレーゼにはエンジンのミスファイヤも生じていた。 このためピットでは多くの時間を費やし、 この後周遅れでレースに復帰するが結局エンジンが壊れリタイアしている。

大混乱の中気付いてみると、順位はセナ、ベルガー、モデナ(ティレル)、中嶋(ティレル)と、 ホンダ勢がトップ4を占めていた。 中嶋も気合の入った好走を見せ、表彰台の可能性も見えてきた。 しかし16周目にギアボックストラブルで無念のリタイアを余儀なくされた。

セナは3位モデナをも周回遅れにしようとしていた。 モデナもホンダエンジンでセナに対抗しようとする。 しかしセナは焦ることなく落ち着いてモデナをかわして、2位ベルガー以外をすべて周回遅れにした。

3位を走っていたモデナも42周目にストップ、 かわりに浮上したモレノ(ベネトン)もギアトラブルでストップ。 モレノは周回数の関係で完走扱いになったが、実質、マクラーレン以外のトップチームはすべて消えていった。

終盤、セナにも油圧低下の症状が見られたが大切にマシンをコントロールしていく。 結局、追い上げてきたベルガーを引き連れて、マクラーレンの1-2フィニッシュ。 チームメイトになって2年目、セナとベルガーのワン・ツーは初めてだった。 3位にはレート(ダラーラ)が初表彰台、5位にもハッキネン(ロータス)が初入賞を飾った。

セナはこれでF1記録タイの開幕3連勝。 しかしセナには浮かれた気持ちは全くなかったようだ。 今回はライバルチームの自滅にも助けられ、 さらに中盤、周回遅れのパトレーゼに抜かれ、ウイリアムズの脅威を改めて実感したようだ。 そしてこのセナの予測が、後々現実のものになっていくのだった。



予選結果

 
ドライバー
チーム
タイム・備考
PP
 アイルトン・セナ  マクラーレン・ホンダ  1'21"877
2位
 リカルド・パトレーゼ  ウイリアムズ・ルノー  1'21"957
3位
 アラン・プロスト  フェラーリ  1'22"195
4位
 ナイジェル・マンセル  ウイリアムズ・ルノー  1'22"366
5位
 ゲルハルト・ベルガー  マクラーレン・ホンダ  1'22"567
6位
 ステファノ・モデナ  ティレル・ホンダ  1'23"511


決勝結果

 
ドライバー
チーム
タイム・備考
優勝
 アイルトン・セナ  マクラーレン・ホンダ  1゚35'14"750
2位
 ゲルハルト・ベルガー  マクラーレン・ホンダ  1゚35'16"425
3位
 J・J・レート  ダラーラ・ジャッド  1Lap
4位
 ピエルルイジ・マルティニ  ミナルディ・フェラーリ  2Laps
5位
 ミカ・ハッキネン  ロータス・ジャッド  3Laps
6位
 ジュリアン・ベイリー  ロータス・ジャッド  3Laps
 
     
FL
 ゲルハルト・ベルガー  マクラーレン・ホンダ  1'26"531




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