1992年 ブラジルGP


1992年4月3-5日
ブラジル アウトドローモ・ホセ・カルロス・パーチェ(インテルラゴス)

予選:3位 決勝:リタイア


開幕2戦でウイリアムズ・ルノーに完敗を喫したマクラーレンは、 予定よりも早く急遽ここブラジルにニューマシン、MP4/7Aを投入した。

MP4/7Aは、セミオートマチック・ギアボックスやフライ・バイ・ワイヤと呼ばれる 電子制御スロットルなどハイテク搭載のマシンである。 しかし、ドライバビリティには優れているかもしれないが、 ウイリアムズのリアクティブ・サスペンションのように 直接的に「速さ」を生み出し、タイムに影響するようなテクノロジーではなかった。

金曜日、マクラーレンのピットには旧車MP4/6Bが3台と新車MP4/7Aが3台、 計6台が並んだ。これはMP4/7Aがまだテスト不足で信頼性に欠けるためだ。 しかしセナは、MP4/6Bでは負けることは明白であると判断し、 敢えて新車を使うことを決心する。

案の定、MP4/7Aは安定してその性能を発揮できない。 金曜午前は5位、午後の1回目の公式予選ではなんと9位に沈む。 土曜になると挽回して、ウイリアムズ勢に続きセナ3位、ベルガー4位と、 とりあえずのグリッドは獲得するが、PPマンセルからは2秒以上離された。

そのマンセルであるが土曜予選に、すでにダントツのトップタイムをマークしているにもかかわらず、 アタック中のセナを無理に抜こうとしてコースアウト、バリアに激突しマシンを壊した。 過去に何度もケンカと仲直りを繰り返している2人であったが、 この時はマンセルが素直に自らの過ちを認め、騒ぎにはならなかった。 これも連勝中の余裕か?それにしてもマンセルには相変わらず理解に苦しむ行動が見える。 これも今思えば、愛すべきマンセルの「キャラクター」であった。

決勝レース日もマクラーレン・ホンダ陣営は混乱する。 ベルガーのエンジンが不調で、セナのスペアカーに乗り換えたがこちらにはギアボックスのトラブルが発生。 結局、エンジンを載せ換えた自らのマシンでグリッドに向かう。 しかしそのマシンにもセミオートマの不具合と 水温上昇が見られ、再びピットに戻り、ピットスタートを余儀なくされた。

セナは無事に3番グリッドからレースをスタートした。 異次元のウイリアムズ勢には大きく差を広げられるものの、予選順位を落とすことなく シューマッハー(ベネトン)、アレジ(フェラーリ)などを従えて3位を走行。

しかしセナのペースが上がらない。セナのマシンには電気系統のトラブルが発生していて、 エンジンが断続的にカットオフ状態になっていたのだ。 後方からはシューマッハーがペースの落ちたセナに並びかけ、かわそうとするが、 すぐにセナのエンジンが一時的に息を吹き返しまた突き放していく…そんな状態がしばし繰り返しされた。

しかし13周目にシューマッハーに完全に抜かれると、 次の周にはアレジとブランドル(ベネトン)にも相次いでかわされ6位に後退。 その後セナのマシンは復調することなく、全くいいところないままわずか17周で地元のレースを終えた。 エンジン音をふかしピットに戻ってきて、地元ファンに手を振ることもなく すぐにマシンを降りピットの奥に入っていくそのうしろ姿からは、 悔しさを通り越した怒りにも似た感情が見てとれた。

ちなみにベルガーはピットから遅れてレースに参加したが、結局4周を走っただけでレースを諦めざるを得なかった。 万一の可能性にかけて新車を投入したマクラーレンだったが、すべてが悪い方に転んでしまった。

レースはウイリアムズ勢の圧勝で、開幕から3戦続けてマンセル、パトレーゼの1-2フィニッシュ。 3位には2戦続けてシューマッハーが入った。シューマッハーはこの時F1参戦9戦目、 まだデビューしてから7ヶ月程しか経過していない。 しかしそんなシューマッハーはインタビューの中で堂々と王者セナを批判をしている。 「…セナの厳しいブロックは、3度のチャンピオンのすることではない…」と。

おそらく、セナのマシンのペースが上がったり下がったりして不穏な動きをしていたからそう感じたのだろうとは思うが、 私が見る限りではセナには露骨なブロックは確認できなかったし、 同一周回であるのだから、シューマッハーにはそんな言い訳は認められないのではないかと思う。

セナのブロックを批判したシューマッハーだったが、後の 1994年オーストラリア(VSヒル)、95年ベルギー(VSヒル)、 97年ヨーロッパ(VSビルヌーブ)、2000年ベルギー(VSハッキネン) などで見られたシューマッハー自身のブロック・接触の方が、 はるかに危険で行き過ぎていたと私は思うのだが、 みなさんはどうお感じになったであろうか?



予選結果

 
ドライバー
チーム
タイム・備考
PP
 ナイジェル・マンセル  ウイリアムズ・ルノー  1'15"703
2位
 リカルド・パトレーゼ  ウイリアムズ・ルノー  1'16"894
3位
 アイルトン・セナ  マクラーレン・ホンダ  1'17"902
4位
 ゲルハルト・ベルガー  マクラーレン・ホンダ  1'18"416
5位
 ミハエル・シューマッハー  ベネトン・フォード  1'18"541
6位
 ジャン・アレジ  フェラーリ  1'18"647


決勝結果

 
ドライバー
チーム
タイム・備考
優勝
 ナイジェル・マンセル  ウイリアムズ・ルノー  1゚36'51"856
2位
 リカルド・パトレーゼ  ウイリアムズ・ルノー  1゚37'21"186
3位
 ミハエル・シューマッハー  ベネトン・フォード  1Lap
4位
 ジャン・アレジ  フェラーリ  1Lap
5位
 イワン・カペリ  フェラーリ  1Lap
6位
 ミケーレ・アルボレート  フットワーク・無限ホンダ  1Lap
リタイア
 アイルトン・セナ  マクラーレン・ホンダ  17周、電気系統
 
     
FL
 リカルド・パトレーゼ  ウイリアムズ・ルノー  1'19"490




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