1992年5月1-3日
スペイン カタロニア サーキット
前戦ブラジルでは急遽ニューマシン MP4/7A を投入したが惨敗を喫したマクラーレン陣営。
その後1ヶ月間のインターバルが空きマシンの熟成を進めるがまだまだ開発途上で、
ウイリアムズを追うどころか、ベネトンにも追いかけまわされているというのが現状だ。 対してベネトンは万全を期して92年型のニューマシン B192 を投入。 特徴的なハイノーズを施し、空力・バランスがさらに向上した。 シューマッハー(ベネトン)はこのマシンを駆り、金曜予選で2位を獲得。 セナはマンセル(ウイリアムズ)から1秒遅れ、さらにシューマッハーにも僅差の3位。 異次元のウイリアムズのマシンに乗るマンセルはともかく、 シューマッハーには土曜予選での逆転が期待されたが、 雨のためアタックできず結局金曜のタイムが予選結果になった。 日曜日もスタート直前に雨が落ちてくる。 各車スリックタイヤからレインタイヤへ交換し決勝レースが始まっていく。 ここで素晴らしい(強引?フライング ギリギリ?)でスタートを切ったのが予選8位のアレジ(フェラーリ)。 コース中央を一気に突破し3位へとジャンプアップ。 逆にセナは、このアレジの少々無理のあるスタートの犠牲になり出遅れた。 スタート直後から1~2コーナーにかけてかなり混乱したが、なんとかアクシデントなく切り抜けた。 セナは、予選でセッティングに失敗したパトレーゼ(ウイリアムズ)と豪快なスタートを切ったアレジに抜かれただけで、 5位でオープニングラップを終える。 セナは8周目にはアレジをパスし4位。 さらに20周目にはスタートで2位にジャンプアップしていたパトレーゼが単独スピンを喫しクラッシュ。 開幕から続いたウイリアムズのワン・ツー体制が初めて崩れた瞬間だった。 セナはこれで労せずして3位へ。 コース上は次第に水が溜まり始め、完全なウエットコンディションとなる。 上位陣は大きなバトルも混乱もなく周回を重ねていく。 セナの駆るマクラーレンには重いホンダV12エンジンが搭載され、 まだ不完全なシャシーということで思うようにペースが上がらず、 またスタートで出遅れ間隔が開いたこともありマンセルとシューマッハーを追い詰めるまでには至らない。 中盤以降、セナは淡々と単独で3位を走行。 しかしレースも残り10周を切った56周目にコース上の水に足を取られてスピン。 このときはなんとかコースに復帰できたが、63周目に再びハイドロプレーニングの餌食となりスピンオフ。 今度はサンドトラップから脱出できなかった。 結局セナは残り周回数の関係で9位完走扱い。 これで第2戦以降3戦連続ノーポイントになってしまった。 優勝したマンセルは開幕4連勝で昨年セナが打ち立てた記録にあっさりと並んだ。 雨の中途中マンセルを追い上げる走りを見せたシューマッハーは初の2位表彰台。残るは優勝だけになった。 今回は「レインマスター」らしからぬレースだったのかもしれないが、 翌93年の雨の中での芸術的な走りを見てみると、 この92年型 MP4/7A がセナのドライビングテクニックを反映しにくく、 ウエットコンディションに適していないマシンだったのかもしれない。 ともあれ、開幕4戦を終えてマンセルとは36点、シューマッハーにも13点もの差をつけられてしまった。 セナの苦悩は深まっていくが、しかし逆にミスなくライバルの一瞬の隙をつくといったドライビングの繊細さ・完成度は、 今後一層輝いていくように見えた。 |
ドライバー |
チーム |
タイム・備考 |
|
PP |
ナイジェル・マンセル | ウイリアムズ・ルノー | 1'20"190 |
2位 |
ミハエル・シューマッハー | ベネトン・フォード | 1'21"195 |
3位 |
アイルトン・セナ | マクラーレン・ホンダ | 1'21"209 |
4位 |
リカルド・パトレーゼ | ウイリアムズ・ルノー | 1'21"534 |
5位 |
イワン・カペリ | フェラーリ | 1'22"413 |
6位 |
マーティン・ブランドル | ベネトン・フォード | 1'22"529 |
ドライバー |
チーム |
タイム・備考 |
|
優勝 |
ナイジェル・マンセル | ウイリアムズ・ルノー | 1゚56'10"674 |
2位 |
ミハエル・シューマッハー | ベネトン・フォード | 1゚56'34"588 |
3位 |
ジャン・アレジ | フェラーリ | 1゚56'37"136 |
4位 |
ゲルハルト・ベルガー | マクラーレン・ホンダ | 1゚57'31"321 |
5位 |
ミケーレ・アルボレート | フットワーク・無限ホンダ | 1Lap |
6位 |
ピエルルイジ・マルティニ | ダラーラ・フェラーリ | 2Laps |
9位 |
アイルトン・セナ | マクラーレン・ホンダ | 62周スピン、完走扱い |
FL |
ナイジェル・マンセル | ウイリアムズ・ルノー | 1'42"503 |