1993年 サンマリノGP


1993年4月23-25日
イタリア アウトドローモ・エンツォ・エ・ディノ・フェラーリ(イモラ)

予選:4位 決勝:リタイア


苦戦が予想される中、第2戦・第3戦と思わぬ勝利をそれも劇的に飾ったセナ。 気が付けばプロストに12点も差をつけてのポイントリーダーに立っていた。 しかしそれはセナの類稀な能力によるところが大きく、現状のマシン的な厳しさは変わらない。

サンマリノGPは開幕する金曜日、セナはセッションが開始されるわずか15分ほど前にサーキットに到着。 マクラーレン側は最新型エンジンを獲得しようと、ギリギリまでフォードと交渉をしていたのだという。 そしてセナは急いでマシンに乗り込むが、旅の疲れからか、 それとも戦闘力の劣るマシンで無理を承知で限界以上で攻めているのか、スピンを繰り返す。

それでもセナは金曜・土曜ともに、最新型エンジンと革新的なシャシーを有するベネトンのシューマッハーに僅差で続く4位。 現状を考えればマクラーレンのマシンのポテンシャルを十分に引き出したといえると思える。 ちなみに金曜予選では初めてヒル(ウイリアムズ)がトップに立った。 土曜になるとプロスト(ウイリアムズ)に逆転されるものの、ヒルの成長も著しかった。

日曜の決勝レースはまたしても雨。開幕から4戦続けて雨が絡むレースとなった。各車レインタイヤを装着してレースに臨む。 スタートでは予選2位のヒルと予選4位のセナが好ダッシュを決め、ヒル、セナ、プロストの順で周回を重ねていく。 プロストはPPから3位に落ちたが、いつもの彼のように急がず慌てず、セナの様子をしばしうかがう。

次第にプロストはジリジリとセナにプレッシャーを与え始めるが、セナも絶妙なライン取りで隙を与えない。 しかしプロストは7周目、トサコーナーの出口からルノーパワーを最大限に生かして一気にセナをかわしていった。 そのころ、雨はほとんど止み路面は乾きつつあった。 プロストにかわされた後、セナはすぐにタイヤ交換のためピットイン。 スリックタイヤに履き替えて再びコースへ。

プロストもそれを見て2周後にピットイン。しかしプロストがコースに復帰するとセナが数秒前を走り抜けていた。 トップのヒルもその直後にピットイン。そしてタイヤ交換を終えると、 ヒルがトップのままコースに戻れたが、セナ、プロストが非常に接近した間隔で迫っていた。

トップのままレースに復帰できたものの、ヒルのタイヤはまだ温まっていない。 そこにセナが接近するが、一瞬セナがヒルにつまる間に、プロストが一気にセナとヒルをかわしていった。 セナもプロストに続きヒルをかわしていくが、プロストはすでに完全にセナの前に出て引き離そうとしていた。

その後プロストは逃げ、セナとヒルは一定の間隔で2位争いを展開。 マシン差を考えれば、すぐにでもヒルがセナを捕らえることも十分に考えられたが、 ブラジルGPの時のように、セナは周回遅れなどを利用してジリジリと差を広げていく。

ヒルも懸命にセナを追いかけるが、21周目にブレーキトラブルのためトサコーナーでコースをはずれてリタイア。 これでセナは楽になった。プロストはすでに見えないところまで引き離されたが、3位シューマッハーも遥か後方である。 セナは誰とバトルすることなく、単独2位で周回を重ねていく。

しかし悲劇は突然訪れる。43周目、セナのマシンはアクティブサスの油圧が低下し、トサコーナーのイン側でマシンを止めた。

「油圧がなくなり、300km/hで走っている時にアクティブ・サスもセミATもだめになった。 マシンをコース脇に止められてよかった。 次のレースには出たい。」 (「F1速報 1993年総集編」より)

このようなコメントを、1年後のサンマリノGPでも聞きたかった。 94年サンマリノGPでの事故の後、なぜか93年サンマリノGPでのこのコメントが頭に浮かんだ。 そして、事故は夢ではないのか、夢であってほしいと思った。その想いは今も変わっていない。



予選結果

 
ドライバー
チーム
タイム・備考
PP
 アラン・プロスト  ウイリアムズ・ルノー  1'22"070
2位
 デイモン・ヒル  ウイリアムズ・ルノー  1'22"168
3位
 ミハエル・シューマッハー  ベネトン・フォード  1'23"919
4位
 アイルトン・セナ  マクラーレン・フォード  1'24"007
5位
 カール・ベンドリンガー  ザウバー  1'24"720
6位
 マイケル・アンドレッティ  マクラーレン・フォード  1'24"793


決勝結果

 
ドライバー
チーム
タイム・備考
優勝
 アラン・プロスト  ウイリアムズ・ルノー  1゚33'20"413
2位
 ミハエル・シューマッハー  ベネトン・フォード  1゚33'52"823
3位
 マーティン・ブランドル  リジェ・ルノー  1Lap
4位
 J・J・レート  ザウバー  2Laps
5位
 フィリップ・アリオー  ラルース・ランボルギーニ  2Laps
6位
 ファブリツィオ・バルバッツァ  ミナルディ・フォード  2Laps
リタイア
 アイルトン・セナ  マクラーレン・フォード  42周、アクティブ油圧
 
     
FL
 アラン・プロスト  ウイリアムズ・ルノー  1'26"128




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