スペインGPの週末、セナに隠し子騒動が勃発。しかしさすがに世界最高峰のレースと世界最高のレーサー。
一旦走り出してしまえばその芸術的なドライビングに魅了され、スキャンダラスな噂など忘れさせてしまう。 予選は金曜、プロスト(ウイリアムズ)とヒル(ウイリアムズ)の間に割り込んで暫定2位になるが、 土曜にはヒルが本来のウイリアムズの性能を引き出しプロストをも負かす勢い。 セナはマシンバランスに苦しみながらPPプロストから2秒近く離されての3位。 決勝レースはヒルが好スタートで1コーナーを奪う。 セナも好ダッシュを決めてなんとか1コーナーまでにウイリアムズ勢に割って入ろうと プロストを揺さぶるがウイリアムズ勢の壁は厚く、前に出ることはできない。 1コーナーを過ぎると、ルノーのパワーを生かしてヒルとプロストが圧倒的なスピードで3位セナ以下を引き離していく。 セナはトップのウイリアムズ集団とも後方4位のシューマッハー(ベネトン)とも差が開き、 淡々と単独の3位でレースを進めていく。 トップ集団は11周目にプロストがヒルを捕らえて1位へ。その後ヒルもプロストに食い下がっていったが、 41周目にエンジンブロー。セナはこれで自動的に2位に上がったが、 プロストとは大差がついていて追撃するまでには至らない。 セナの後方、3位シューマッハーとも40秒の大差をつけていたので、 安全策という意味も含めて52周目にタイヤ交換のためピットイン。 しかしここでピット作業が手間取り大きなタイムロス。 シューマッハーの数秒前方でコースに復帰した。 この年のベネトンは、ガソリンが軽くなる終盤にはウイリアムズに匹敵するほどのスピードを持っていた。 さらにセナを視界に捕らえたシューマッハーは、ますます勢いづく。 シューマッハーの追撃にセナも応戦するが、少しずつその差が縮まってくる。 そしてその差が2秒あまりにまで迫っていた61周目の最終コーナー、 ザナルディ(ロータス)がオイル&白煙を撒き散らしながら走行していた。 セナとシューマッハーは周回遅れのザナルディに近づくが、 シューマッハーはそのオイルに乗ってしまったのか、そのままコースアウトしてしまった。 シューマッハーはすぐにコース復帰するが、セナは遥か前方に。 結局セナが2位のままレースを終えた。 表彰台はプロスト、セナ、シューマッハー。 今現在の通算勝利数ベスト3の豪華な表彰台だったが、これが最初で最後になってしまった。 ちなみにセナとシューマッハーが同一表彰台(2人ともに3位以内)のレースで、 シューマッハーがセナよりも上位だったことは一度もなかった。 |
ドライバー |
チーム |
タイム・備考 |
|
PP |
アラン・プロスト | ウイリアムズ・ルノー | 1'17"809 |
2位 |
デイモン・ヒル | ウイリアムズ・ルノー | 1'18"346 |
3位 |
アイルトン・セナ | マクラーレン・フォード | 1'19"722 |
4位 |
ミハエル・シューマッハー | ベネトン・フォード | 1'20"520 |
5位 |
リカルド・パトレーゼ | ベネトン・フォード | 1'20"600 |
6位 |
カール・ベンドリンガー | ザウバー | 1'21"203 |
ドライバー |
チーム |
タイム・備考 |
|
優勝 |
アラン・プロスト | ウイリアムズ・ルノー | 1゚32'27"685 |
2位 |
アイルトン・セナ | マクラーレン・フォード | 1゚32'44"558 |
3位 |
ミハエル・シューマッハー | ベネトン・フォード | 1゚32'54"810 |
4位 |
リカルド・パトレーゼ | ベネトン・フォード | 1Lap |
5位 |
マイケル・アンドレッティ | マクラーレン・フォード | 1Lap |
6位 |
ゲルハルト・ベルガー | フェラーリ | 2Laps |
FL |
ミハエル・シューマッハー | ベネトン・フォード | 1'20"989 |